2015年5月8日金曜日

コードギアス 亡国のアキト

第三章 輝くもの天より堕つ

 サンライズ製作のSFアニメ、『コードギアス 反逆のルルーシュ』のスピンオフ作品の第三章です。もはや『第二章 引き裂かれし翼竜』(2013年)を観てから一年半以上が経過しております。さすがに待たせすぎだろうと思われましたが、どうやら全四話の予定が全五話に延びたので仕切り直しに時間が掛かったようです。
 忘れている人の為に第三章公開前に第一章と第二章がTV放送されていましたね。
 本作以降の公開は矢継ぎ早で(数ヶ月間隔なら早いと感じますね)、年内に最終章まで公開予定だそうな。ホンマかいな。二〇一五年中に完結するなら、予想通りのペースではありますが。

 冒頭、恒例の前回までのストーリーがダイジェストで紹介されます。
 欧州でEU対ユーロ・ブリタニアの紛争が長引く中、戦場でアキト(入野自由)が兄シン(松風雅也)と再会するも、シンは敵方の将であった。キンキラなKMF〈ヴェルキンゲトリクス〉との対決はひとまずお預けです。
 一方、サンクトペテルブルクでは極東から枢木スザク(櫻井孝宏)が皇帝陛下の名代として軍師ジュリアン・キングスレイ卿(福山潤)を護衛して到着する……と云うところまで。
 ドヤ顔のキングスレイ卿がなかなか笑わせてくれます。この調子で記憶と人格を書き換えられている設定を使えば、本編第一期と第二期の間にいくらでもスピンオフ作品を差し挟んでいけるような気がしますね(笑)。

 本作はドラマの中間、折り返し地点というポジションらしく、前章までの激しい戦闘や作戦行動といった展開は描かれません。小休止としてEU側とユーロ・ブリタニア側で別々にドラマが進行していく流れになっています。
 その分、後半戦に向けての仕込みが行われているようで、何やら陰謀や因縁があちらでもこちらでも語られております。前章に引き続き、脚本は赤根監督と浅川美也、大野木寛の三人の共同脚本なのはいいのですが、残り二章に増えたとしても、その設定と伏線はちゃんと回収されるのだろうかとイマイチ心配であります。赤根和樹監督はちゃんとその辺も計算して……くれてますよね。

 さて、本作は前章から一ヶ月が経過した頃とされていますが、衛星軌道上からの降下作戦を終えた〈wZERO〉部隊はワルシャワのEU軍基地で足止めをくらい、まだパリには帰還できておりません。どうにもEU軍の事務処理は杜撰で効率が悪いようです。
 待機中の部隊にかかる出費については、すべてレイラ(坂本真綾)のポケットマネーで賄われていると語られ、お嬢様が一緒にいてくれて一同、助かっていますね。
 しかしワルシャワ基地には、第一章でレイラに恥を掻かされたアノウ中佐(鳥海浩輔)がいて、姑息な嫌がらせを仕掛けてくる。ある日、〈wZERO〉部隊全員で息抜きのために基地の外のバザールに出かけて戻ろうとすると、パスのIDが作動せず、ゲートが開かない。アノウ中佐がデータを改ざんした所為ですが、〈wZERO〉部隊は基地に戻れず、閉め出されて野宿する羽目になる。

 一時外出した部隊が帰還しないと、それはそれで問題になるような気もするのですが、前線基地で混乱している上に、アノウ中佐のデータ改ざんで露見していないのか。いくら嫌われ者のイレブンの部隊だからと云って、軍隊がそれでいいのか。指令系統から外れた部隊だから問題にはならないのか。
 実は、本作に於ける〈wZERO〉部隊には、まったく活躍の機会がありません。ユーロ・ブリタニア側の事情が一段落するまで、足止めを喰らわせようという脚本上の陰謀を感じます(笑)。
 そしてアキト達は昼間にバザールで知り合った謎めいたジプシーの老婆と、野宿しようとした河川敷で再会し、しばらくの間ジプシー達のキャンプに居候すると云う流れです。
 民族衣装を着たレイラが新鮮デス。こういう画は今まで無かったですね。

 この世界にもジプシー(のような放浪する民族)がいる設定ですが、歴史的な背景についてはスルーされています。しかも何故か女性ばかりの集団ですが、男がいないことに関する説明は無い。
 歴史の異なる平行世界設定ですが、本作でもある場面で「ジャンヌ・ダルク」なんて名前が飛び出してくるところを見ると、こちらの現実世界と似た経過を辿っているようですが、そのあたりの差異がよく判りませんです。
 そして、ジプシーの長老的存在が大ババ様なる老婆ですが、一目アキトを見るや「呪われた子だ」と見抜く当たり、只者では無い。でもギアス能力者というワケでもなさそうです。
 更に大ババ様は占いによって、レイラにもまたギアスが掛けられていることを明かしてくれます。

 同じ〈wZERO〉部隊の中に、二人までギアス関係者がいる設定は不自然な感じがしますが、どうなんでしょう(二人とも主役だし)。そして大ババ様が言うところの、幼い日のレイラにギアスを掛けた「森の魔女」こそ、我々のよく知るCC(ゆかな)であったと云う展開。
 レイラの幼少時というと、CCがギアス教団から出て行った頃か。
 とりあえずこれで本編の主役三人、ルルーシュ、スザク、CCが顔を見せてくれたワケですが、これが今後のストーリーにどう絡んでくるのか気になるところです。
 誰が誰にどんなギアスを掛けているのか、明かされるのは後半になってからでしょうが、色々なところにギアス能力者が出没しているらしい。だんだんややこしくなってきました。

 それよりも大事なのは、本作でようやく〈wZERO〉部隊の結束が固まるところですが、あれほど脱走したがっていたリョウ(日野聡)やユキヤ(松岡禎丞)が、逃げ出しもせずにアキト達とジプシーのキャンプに居候しております。
 前回で〈アレキサンダ〉に搭乗して精神的にリンクしたことが関係しているのか、一ヶ月ワルシャワで暮らしている間に情が移ったのか。共同生活が長引くうちに、いつの間にやら「いつか皆で一緒に日本に帰ろう」なんて約束し合っております。急速に仲間意識が芽生えたか。そのあたりの描写にもっと尺を割いて戴きたかったですが、OVAのミニシリーズではそうもいかないのか。
 〈wZERO〉部隊の各メンバーが今まで見せなかった一面を見せてくれる展開はなかなか興味深いものでした。アキトとレイラも更に親密になりますし。

 登場人物達の過去も少しずつ明かされ、背景設定の方にも奥行きが広がって参りましたが、それと一緒に謎めいた展開も描写されます。
 それがパリのスマイラス将軍(石塚運昇)の元を訪れる〈時空の管理者〉なる存在。複数の平行世界を統括しているようなことを匂わせており、「時空のバランスさえ保たれるなら、誰が王になろうと関知しない」などと語っております。
 本編のシリーズで語られた〈Cの世界〉と何らかの繋がりがあるのか。また設定上の風呂敷を広げている感じがありありなのですが、大丈夫なのか。ここが本作を観ていて一番心配になった部分でした。

 〈wZERO〉部隊がワルシャワでジプシーのおばちゃん達とドタバタしている間、サンクトペテルブルクでも色々と事件が進展しております。
 作戦参謀として着任した軍師キングスレイ卿(笑)と聖ミカエル騎士団長シンの腹の探り合い。実はどちらも〈絶対遵守ギアス〉の持ち主なのは観ている側だけが知っていることですね。〈wZERO〉部隊との交戦時の詳細を訊かれて、「敵を討ちもらしました」と答えるシン。
 あれ、そうでしたっけ。ビミョーに事実を語ろうとしていないシンの本意はどこにあるのか。シンの過去にも色々と複雑な事情がありそうです(可愛い義妹もいるみたいですし)。

 一方、いよいよキングスレイ卿の作戦が発動し、EUに大規模なテロが仕掛けられる。悪だくみをしているときのルルーシュは実に楽しそうです。本質的な人格は変わっていないのか。
 それを黙って横で見ていなければならないスザクの心労は察するに余りありますね。時々、スザクが苦虫をかみつぶしたような表情を見せているのが笑えます。

 まず、北海上の発電所が爆破され、パリに大規模な停電が発生する。同時に〈世界解放戦線〉なる架空のテロ・グループによる犯行声明が出されるワケですが、どうにもやることがドコカデミタような作戦です。
 人心を惑わせ、EU各地の大都市で暴動が発生するように仕向け、機を見てユーロ・ブリタニアの軍隊を進軍させようというものですが、ユーロ・ブリタニアの大公(菅生隆之)はこれに難色を示す。
 例え敵国と云えど、無辜の市民を巻き込む作戦には同意しかねると云う、実に名君らしい発言ですが、これすらもキングスレイ卿の作戦の一部で、大公に謀反の意ありとして幽閉してしまう。

 かくしてユーロ・ブリタニアの全権を握るキングスレイ卿ですが、そう巧いことばかり起きるわけではない。何しろ、やっていることが〈黒の騎士団〉時代のルルーシュと大差ないので、聡明なものには判ってしまう。
 容易くシンに、「キングスレイ卿の正体はゼロだ」と見抜かれ──実はゼロは欧州にも名前が売れていたのね──、それを否定するスザクと争いになる。

 本作では大規模な戦闘は起きない代わりに、ちょっと変わったシチュエーションでKMF戦闘が展開します。それがサンクトペテルブルクの宮殿内で行うスザクと聖ミカエル騎士団のKMFとのインドア戦です。
 KMFは巨大ロボとは云い難いサイズですから、天井の高い宮殿内での戦闘が可能なのですね。なかなか凝った背景美術に、CGを駆使してスザクの愛機〈ランスロット〉が駆け巡る場面は美しい上に動きもなめらかです。
 本作の公開まで随分と待たされましたが、こういう場面をちゃんと見せてくれるのなら納得できますね。

 そしてスザクが〈ランスロット〉を駆って聖ミカエル騎士団のKMFを撃破している間に、更に悪いことが起こる。
 以前から発作のような症状を見せて、洗脳が解けかかり、記憶が戻りそうな素振りを見せていたルルーシュですが、それをシンに見られて遂にゼロの正体までバレてしまいます。
 それからどうなったのか。
 故意に時間を飛ばして、キングスレイ卿の正体をユーロ・ブリタニアの貴族達の前で公表するシン。ブリタニア本国の皇子が身分を偽り、大公を幽閉し、全権を掌握したのは明かな侵略の陰謀であるとして、ユーロ・ブリタニアはEUとブリタニア本国の双方に敵対することを明らかにする。
 戸惑う大貴族達に、聖ガブリエル騎士団と聖ウリエル騎士団の団長の首級まで突きつけ、とうとう四大騎士団統帥の地位にまで登り詰めるシン・ヒュウガ・シャイング。

 傍目にはシンが野望の階段を着実に登っているように見えるのですが、果たしてそうなのか。まぁ、話した言葉に偽りは無いですね。本当にキングスレイ卿はゼロでルルーシュだったわけですから。
 しかし本作中では、これ以降、ルルーシュとスザクがどうなったのかまでは判りません。ルルーシュとシンの間に何が起きたのか伏せているようです。
 本当は何があったのか明かされないまま、ドラマは第四章『憎しみの記憶から』に持ち越しです。

 ただ一人生き延びた聖ラファエル騎士団長アンドレア(子安武人)は、シンの謀反にどう出るのか。
 一方、EUではようやく帰還した〈wZERO〉部隊によって、〈世界解放戦線〉の空中要塞〈方舟〉への強襲作戦が敢行されようとしていた……と云うワケで、予告ではまたまたド派手なKMF戦闘が拝めそうな気配です。
 本作では出番の無かったアシュレイ(寺島拓篤)に見せ場が回ってきそうですが、大丈夫なのか。〈アシュラ隊〉が全滅しないことを祈るばかりデス。




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