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2014年2月1日土曜日

マイティ・ソー/ダーク・ワールド (3D)

(Thor : The Dark World)

 マーベル・コミックスの映画化路線は安定しておりますねえ。『アベンジャーズ』(2012年)の続編に向けて、主要メンバーの単体主演作がまた続いております。『アイアンマン3』(2013年)に続いて、本作。更には『キャプテン・アメリカ/ウィンターソルジャー』も控えております(本作鑑賞前に予告編も流れましたし)。
 『アベンジャーズ2』への布石が着々と打たれていきますね。でも、こうなったらマーク・ラファロ主演でハルクの続編もお願いしたいし、スパイダーマンやX-MENもアベンジャーズと関係させてもらえぬものでしょうか(きっと物凄いお祭り映画になるでしょうが)。

 さて、『マイティ・ソー』(2011年)から三年近くが経過しての続編ですが、登場人物の配役がほぼ変わりなしとは嬉しい限りデス。
 クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、トム・ヒドルストン、アンソニー・ホプキンス、レネ・ルッソ、ステラン・スカルスガルド、イドリス・エルバと皆さんお変わりなく。特にレネ・ルッソがちゃんと登場してくれたのが嬉しいです。前作よりもイドリス・エルバにも見せ場が増えましたし。
 ナタリー・ポートマン(以下、ナタポー)も『マイティ・ソー』で産休に入りましたが、御出産後に本作で復帰ですね。
 他にも、カット・デニングス、ジェイミー・アレクサンダー、レイ・スティーヴンソン、浅野忠信までもが一緒とは素晴らしい。まぁ、浅野忠信の出番はほんの少しでしたが……。

 残念なのは、ファンドラル役のジョシュア・ダラスがザッカリー・リーヴァイに交代してしまったことでしょうか。ソーの四人の戦友の中で、ファンドラルだけ変わっているのは、画竜点睛を欠きますね(でもザッカリーのファランドラルも悪くないです)。
 マーベル映画の常として、スタン・リー御大のカメオ出演も怠りなし。今回はステラン・スカルスガルドがブチ込まれた精神科病棟の患者の一人でした(笑)。
 欲を云うなら、アベンジャーズとの関係で、いつものサミュエル・L・ジャクソンや、クラーク・グレッグにも登場して戴きたかったところですが、今回はニック・フューリー長官にもコールソン捜査官にも出番なし。代わりにキャプテン・アメリカ役のクリス・エヴァンスがお茶目な登場の仕方をしてくれます。

 監督はケネス・ブラナーに代わって、アラン・テイラー。TVドラマの監督が多い方で、劇場用長編は数作あるようですが、いずれも未見デス(日本未公開ばかりだし)。でも海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』くらいなら少しは見たことあります。
 音楽もパトリック・ドイルに代わって、ブライアン・タイラーです。この辺は監督の好みによるものでしょうか。

 監督交代によるものか、前作のシェイクスピア劇的な描写よりも、アクションとアドベンチャーを前面に出した演出であるように見受けられました。でも親子の情愛、兄弟の絆もしっかりと描かれていたので、エモーショナルな演出は健在です。
 やはりソーのドラマは他のマーベル・ヒーローに比べて、家族構成がドラマの核ですね。前回は父王オーディン(アンソニー・ホプキンス)と二人の息子がメインでしたが、今回は母フリッガ(レネ・ルッソ)と次男ロキ(トム・ヒドルストン)の関係にスポットが当てられており、ちょっと泣かせます。ロキが養子であることを考えると更に泣けます。

 また今回は、ジェーン・フォスター(ナタポー)がアスガルドを訪れると云う展開になっており、ナタポーとアンソニー・ホプキンス、ナタポーとレネ・ルッソの御対面の図も用意されています。恋人の両親との対面は緊張するものですが、御両親が神様では尚更デスね(カレシも神様ですが)。
 しかし神様にも容赦なしというか、連絡一つ寄こさなかったソーに対して、再会した途端に引っ叩くナタポーの剛胆ぶりが素晴らしい。同じ事をロキにもしますし、怖いもの知らずです。
 また、シフ(ジェイミー・アレクサンダー)がナタポーを見る目付きもちょっとビミョーであるのが、この先の続編への伏線ぽいです。

 アスガルド人は厳密には「神様のような宇宙人」なので、劇中でもアスガルドの魔法のような描写も、量子力学的に説明しようとするナタポーの台詞も伺えて、前作同様に「北欧神話のファンタジー」ではなく、あくまでもソレっぽいSFなのだと強調する姿勢は崩されておりません(コジツケですけど)。
 このあたりに『アベンジャーズ』と同列の世界観──「マーベル・シネマティック・ユニバース」なる映画版独自の設定で、原作コミックスとはまたビミョーに異なるのか──を崩さないような配慮を感じました。だから神話的な乗物も、SF的なメカとしてデザインされていたりします。

 また、本作は『アベンジャーズ』系列の中では、地球外の世界がメインに描かれる一番壮大なストーリーでもあります。
 設定上は、虹の橋ビフロストで結ばれた世界が九つあることになっておりますが、前作ではアスガルド、ヨトゥンヘイム、ミッドガルド(地球)が描かれただけ。今回はスヴァルトヘイムとヴァナヘイムが追加されました。
 前作のアスガルドでの騒ぎの余波で、あちこちで騒乱が起きたらしく、冒頭からヴァナヘイムでの暴動鎮圧が描かれております。いつものように豪快に戦うソーですが、鎮圧後、ホーガン(浅野忠信)とはここで別れてしまう。
 ホーガンはヴァナヘイムが出身地なのでアスガルドには帰還しないと語られ、浅野忠信の出番はこれだけです(ラスト近くでもう一瞬、出番がありますが)。残念。
 浅野忠信の活躍はいつになったら観られるのでしょうか。ホーガンにもっと出番を……。

 今回の敵は、スヴァルトヘイムを支配する(していた)ダークエルフの王マレキス。前作はヨトゥンヘイムの巨人族でしたが、今回はダークエルフか。これもまた宇宙人の一種です。
 宇宙創成前からある謎のエネルギー〈エーテル〉を使ったダークエルフの宇宙征服の野望を、壮健な頃のオーディン率いるアスガルド軍が阻止すると云う因縁話が序盤にあって、マレキスは逃亡、〈エーテル〉は破壊不能である為に宇宙の何処かへと隠される。
 次に〈エーテル〉が活性化するのは、九つの世界が直列する五千年後……。

 いかなる位置関係で九つの世界が「直列」するのかサッパリですが、本作はハードSFと云うわけでなし、野暮なツッコミは不要です。そしてどういうわけだか、ミッドガルド(地球)が〈エーテル〉活性化の影響を真っ先に受けてしまう。
 これに最初に気付くのがセルヴィック教授(ステラン・スカルスガルド)であるのはサスガと云うべきなのですが、〈エーテル〉の悪影響なのか、悪いものでも食べたのか、奇行に走ってしまう描写に笑ってしまいました。
 観測装置を持ってストーンヘンジの遺跡をうろつき騒ぎを起こすのはいいのですが、何故か全裸です。この場面では、本当に北欧の名優ステラン・スカルスガルドさんが全力の体当たり演技。素晴らしいデス。
 たかがアメコミの映画化の為にそこまで脱ぐなんて。しかも全裸になる理由が最後まで不明確なままですよ。教授が事件を解決する鍵であるのはいいとして、簡単に他のメンバーと合流させたくないと云う脚本上の陰謀を感じました(笑)。

 逮捕されてしまった──主に猥褻物陳列罪で──セルヴィック教授に代わって、調査に赴くのがジェーン(ナタポー)と助手のダーシー(カット・デニングス)です。三年のブランクがあるとは思えぬくらい、皆さんそのままなのが嬉しいですね。
 また、重力異常や、空間がねじれている描写がなかなかSF的で面白いです。通報を受けて調査に出向いたナタポーが、ひょんなことから〈エーテル〉の隠し場所を発見してしまい、自身の身体に〈エーテル〉のパワーを宿してしまう。
 九世界の直列と〈エーテル〉活性化の兆しを受けて、逃亡していたダークエルフの王マレキスも五千年ぶりに活動を再開し、ナタポーを掠って、今度こそアスガルドの打倒と宇宙征服を目指します。暗黒世界の招来が目的なので、これが副題の「ダーク・ワールド」。

 そしてアスガルド存亡の危機に、ソーは投獄されていた弟ロキに助力を乞う。父王オーディンの許しを得ることなく、独断でロキを地下牢から連れ出したために、ソーもまた叛逆者の汚名を着せられ、兄弟そろって逃亡しつつ、ダークエルフの陰謀を阻止せんと追跡を開始する。
 前作にも増して、陰の主役であるトム・ヒドルストンの屈折した演技が炸裂しております。豪放磊落な兄貴よりも、皮肉屋で策謀家の弟の方に人気がある(主に大きなお姉さん達に)のも肯けます。自分を本当に信じられるのかと問うロキに屈折した兄弟愛を感じました。
 演技の方でも、クリス・ヘムズワースよりトム・ヒドルストンの方が自由でのびのびしてるように感じられました。悪役の役得ですね。
 本作では、ロキが幻影を操る設定が遺憾なく発揮されていて楽しいものになっております。

 そして追跡はアスガルドからスヴァルトヘイムへ、更には決戦の地であるミッドガルドへ。何故か、九つの世界が直列する中心は、イギリスのグリニッジであるとされております。何故、グリニッジ。
 子午線が通っているからと云うイメージは判りますが、別にグリニッジにする必然は感じられませんねえ(兵庫県明石市でもいいじゃなイカ)。
 とは云え、世界遺産にも登録されたグリニッジの歴史的建築物が片っ端から盛大に破壊されていくクライマックスは豪快です。
 更に九世界直列の影響で、各世界が直結し、ソーとマレキスが戦いながら各世界を廻っていくシチュエーションがSF的でした。前作で登場したヨトゥンヘイムの怪獣も再登場します。

 しかし、どんなに破壊的なパワーで暴れまくっても被害はグリニッジ周辺だけですし、宇宙的な危機も未然に防がれてしまえば、スケール的にちょっと尻すぼみの感は否めませぬです。前作でもニューメキシコ周辺だけが被害を被っていましたし。シリーズものである所為か、あまり地球滅亡的な描写にはし辛いのでしょうか。
 まぁ、被害の大半は空間のねじれで異世界へ流れていったと云うことになるのでしょう。
 ダークエルフの野望を阻止したことで、オーディンからもお咎め無し。玉座を譲るという言葉にも動かされることなく、アスガルドを去って愛する者の元に戻るソーですが……。
 まだまだ終わりそうにないエンディングです。『アベンジャーズ』の続編もそうですが、『マイティ・ソー』としての第三作も早く制作して戴きたいですね。

 でもって、一件落着後もぬかりなく次回作への布石が打たれます。
 アスガルドは破壊不能の〈エーテル〉を保管する為に、今度は隠すのは止めて「コレクター」なる人物に委託してしまう。何やら、宇宙的に珍しいものを蒐集している酔狂な人のようです。マニアであれば大切に保管してくれるだろうと考えたのか。
 でもそんな物騒な代物の保管をアウトソーシングしていいものですかね。
 案の定、コレクターは密かな野望を抱いているらしく、「あと五つだな」などと意味不明の呟きを発します。ナニカのコンプリートを目指しているのか。
 しかも、この怪しげなコレクターを演じているのは、なんとビックリのベニチオ・デル・トロです。もう次回作にも出演する気満々ですね(笑)。




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