2012年4月17日火曜日

バトルシップ

(BATTLESHIP)

 ピーター・バーグ監督によるSFスペクタクル映画ですが、ツッコミ処満載のバカB級アクションでもあります。これがユニバーサル創立一〇〇周年記念作品。大金投じて何というものを。もはや確信犯。
 『インデペンデンス・デイ』(1996年)から続く、打倒エイリアンでアメリカ万歳映画デス。近年も『世界侵略 : ロサンゼルス決戦』(2011年)なんてのがありましたが、ジャンルとして確立されているのデスかね。
 『世界侵略~』は「海兵隊、万歳」でしたが、本作は「海軍さん万歳」な作品。
 バカバカしいストーリーを最新のCG特撮と大音響サラウンドで、ド派手に見せますッ──と云う実に清々しい演出方針が全編を貫いております。二時間超えの長尺ですが退屈はしません。寝てしまうこともありません(むしろ眠れないくらいガンガン鳴らしまくります)。

 ピーター・バーグ監督と云えば『キングダム/見えざる敵』(2007年)が忘れがたい。でも『ハンコック』(2008年)はちょっとアレだったかな。まぁ、監督業よりも俳優としてのキャリアの方が馴染み深く、私は『シカゴ・ホープ』が好きでした(クロンク医師役ね)。医療ドラマとしては『ER』より『シカゴ・ホープ』の方が好きデス。
 近年でもロバート・レッドフォード監督の『大いなる陰謀』(2007年)でお見かけしましたが、本作では監督に徹しておられます。
 ピーター・バーグ監督がSF映画を撮るというハナシは、随分前に聞いた憶えがありまして、あのときはフランク・ハーバートのSF小説『デューン/砂の惑星』のリメイク企画に名前が挙がっていたと記憶しております。楽しみにしていたものの、その後降板されたとか。何とも残念。
 で、代わりに撮ったのがコレですかい。

 ハワイで行われる環太平洋諸国合同軍事演習中に、謎のエイリアンが来襲。ハワイ周辺九〇キロ圏内をバリアで覆ってしまう。外側からのバリア突破は不可能。
 たまたまこの圏内に入っていた日米のイージス駆逐艦三隻だけで、強大な敵に立ち向かわねばならなくなってしまうと云うストーリー。実にシンプルで、解説無用ですね。

 主演はテイラー・キッチュと浅野忠信です。なかなか新鮮な組み合わせですわ。
 テイラーは『ジョン・カーター』(2012年)でも主役を演じておりましたが、大作映画に立て続けに出演するとはビッグになりました。個人的には『X-MEN』シリーズでガンビット役なのが気に入っております。
 浅野忠信は『マイティ・ソー』(2011年)にチョイ役で起用されていましたが、今回はもう大役ですよ。セリフも出番もたっぷりあります。
 共演にはリーアム・ニーソン、ブルックリン・デッカー、アレクサンダー・スカルスガルドがおります。
 ブルックリンはテイラーの恋人役で、リーアム・ニーソンがその父親にして海軍提督の役。テイラーからすれば、何とも怖い人です。
 アレクサンダー・スカルスガルドはテイラーの兄貴役。はみ出しものの弟に対して、有能な海軍士官。この人は、つい先日も『メランコリア』(2011年)に、父親ステラン・スカルスガルドと一緒に出演しているのを観ました。スカルスガルド──覚えにくい名前ですが覚えました。

 冒頭、地球外知的生命がいると思わしき太陽系外惑星に信号を送ろうという国際ビーコン・プロジェクトが紹介されます。
 何となく地味な計画ですが、本作はもう全てに於いてド派手に行くぜ的な演出方針が貫かれておりますので、地味な探査計画も音響がすごいです。衛星からビーム砲もかくやというくらい太いレーザー光線がドカーンと発射される。これが二〇〇六年のこと。
 そして六年後の二〇一二年に謎の飛行物体五個が地球めがけて落下してくる。事前の観測では一切感知できず、いきなり地球圏近くに出現したらしい。超光速航行で飛んできたのは明かですね。

 見どころはこの問答無用な侵略エイリアン共のメカですが──重量感溢れるメカ描写がイイ感じ──、最初に五個あった飛行物体は大気圏突入前に一個が人工衛星に衝突して大破してしまう。大破した破片だけでも上海に大惨事を引き起こすくらいに凄いのですが、ちょっと拍子抜けしてしまいました。ヤワな人工衛星に衝突したくらいで壊れちゃうなんて、そんな(きっと相対速度がスゴかったのね)。
 どうやら大破した一個がエイリアン共の通信担当艦であったらしく、母星へのコンタクトをとる為に、エイリアンはハワイを攻撃して、オアフ島の通信設備の占拠を企んでいる。
 母星からの援軍を呼ばれては勝ち目はない。何としてもこの先遣部隊を、バリア内に残された戦力だけで撃破してしまわねばならない。

 だからバリア外に閉め出されてしまった演習艦隊主力は、まったく活躍できません。リーアム・ニーソンの艦隊司令は手も足も出ない。すべてはテイラー・キッチュと浅野忠信に託されてしまうのです。
 しかも作戦立案と指揮は浅野忠信が行う。実際に行動を起こして敵を撃破するのはテイラーたちアメリカ海軍の皆さんですが。
 ここまで日本の自衛官が大活躍する洋画は観たことありません。

 もうエイリアン来襲前から、日本の描写が素晴らしいデス。
 演習前日に、参加国友好のサッカー大会なんぞが開催され、決勝戦が日本対アメリカとなる場面があります。ここでテイラー・キッチュと浅野忠信の因縁を描いておこうという伏線ですね。
 試合を応援する人達が各国の国旗を振っているのは当然として、日本を応援する側が自衛隊旗と云うか、旭日旗をパタパタと振りまくる。他国の旗に比べて旭日旗の映る頻度が高い。
 何度もスクリーンに大きく映る旭日昇天旗。
 うーむ。派手だ。邦画じゃこんな場面はアリエナイでしょう(笑)。
 そして日米が協力してハワイ(しかも真珠湾)を舞台に地球の危機を救ってしまうというストーリー。いいのか、ここまでして。
 あまりにも日本を好意的に描いて戴き、観ている側が却って恐縮してしまいそうです。

 ところでこれも『世界侵略~』からの流行なのか、侵略者が派手な割に弱いという描写になっています。絶対防御バリアとか、無敵なビーム攻撃はしなくなっている。あくまでも個体弾頭にコダワリを持ち、物理攻撃のみで押してくる。
 相当、強い異星人ではありますが──トカゲ型の爬虫類であると云うのもベタな設定です──、人類側の武器が無効と云うわけではない。ちょっと頑張れば何とか勝てる程度には弱いというバランスなのはどうしたことか。
 仮にも超光速航行を可能にし、九〇キロ圏内をバリアで包む技術を、どうして自分達の防御に使おうとしないのか(きっと深い理由があるんでしょう)。

 まぁ、おかげで特撮はピカピカと光るだけではなくなり、見せ場は沢山あります。特に自律稼働する凶悪なノコギリ玉がいい。特撮は老舗のILMです。
 私は『機動戦士ガンダムF91』(1991年)に登場した円盤殺人兵器〈バグ〉を思い出しました(古いデスか)。
 音楽も『トランスフォーマー』シリーズでもお馴染みな、スティーブ・ジャブロンスキー。派手にガンガン鳴らすサントラも威勢が良くていいですね。
 おかげで音楽もさりながら、メカ描写や効果音までも『トランスフォーマー』ぽく感じるのデスが、これは御愛敬か。

 そしてレーダーの使用できない状況下で、浅野忠信が考案する潮位測定ブイを使用した索敵方法が面白いデス。
 なんでこんなことをするのかと思ったら、そもそも本作はボードゲームの映画化だったのですね。映画が始まる際に、ユニバーサルのロゴが一〇〇周年記念用にリニューアルされておりましたが、それと一緒に、玩具メーカーのハズブロ社のロゴも表示されます。
 ハズブロ社と云うと、ボードゲームやアクションフィギュアの玩具で有名ですが、『トランスフォーマー』が成功したので、自社製品をネタにもっと映画化しようと考えたそうな。
 だから本作は、海戦ゲームが原案なのです。あのゲーム、「レーダー作戦ゲーム」 として存じておりましたが、「バトルシップ」という名前だったのか。全然、気が付きませんでした(笑)。
 ハズブロ社は他にも、「モノポリー」をリドリー・スコットに監督してもらおうとか考えていたそうですが、こちらはポシャッたとか(どんな映画なのか想像できないヨ)。

 敵を少しずつ撃破していきながらも、人類側の戦力もジリ貧状態。最大のエイリアン母艦を相手にどうやって立ち向かうのか。
 クライマックスは真珠湾に係留されていた戦艦ミズーリを無理矢理、動かして立ち向かおうと云う、バカだけれども熱い漢の血潮がタギる展開です。これこそバトルシップ。
 大海戦。艦砲射撃。問答無用。この熱血なノリにツッコミ入れようなんぞと云う野暮な人は観なくてイイです。

 一件落着後、長々とエンドクレジットが続きますが、最後まで観ているとオマケが付いてきます。続編、あるのかしら?


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