2015年4月20日月曜日

ワイルド・スピード SKY MISSION

(Fast & Furious 7)

 ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーの看板シリーズとなりましたカーアクション映画の第七作目にして、シリーズ最終作です(多分)。何と申しましても、片方の主役であるポール・ウォーカーが交通事故でお亡くなりになってしまいましたので(2013年11月30日逝去)、これ以上の続編は無理でしょうか。
 『フルスロットル』(2014年)公開時にポール・ウォーカーの遺作だと宣伝されていたようですが、本作の方が遺作ですね。
 事故は本作のクランクアップ前だったそうで、劇中の一部ではポール・ウォーカーの弟さん二人(ケイレブ・ウォーカーとコディ・ウォーカー)が代役を務めていたとか。ラストシーン近くで遠目にポールを映したショットなんかがソレらしく感じられます。

 しかし、もうこれでシリーズの見納めになるのかと思うと残念でありますが、死後一年半経って、なお元気なポールの姿をスクリーンで見られたのは良かったデス。
 その所為か、ラストシーンの演出が当初の脚本上にはなかったと思われる別れのシーンになっておりまして、込められた惜別の念にちょっとウルウルしてしまいます。
 「例え行く道が違っても、俺とお前は永遠に兄弟だぜ」──なんて台詞は、明らかにポール・ウォーカーの死後に追加されたものでしょう。
 ちゃんとエンドクレジット後には「ポールに捧ぐ “For Paul”)」とも表示されますし。ご冥福をお祈りします。

 しかし何とも残念なシリーズであります。どう見ても、後の方になるに従って、尻上がりに面白くなっていくのですが。特に五作目『ワイルド・スピード MEGA MAX』(2011年)以降の、ドウェイン・ジョンソン参入後から本作までの三作が屈指でありましょう。
 単なるカーアクション映画ではなく、大掛かりな泥棒映画になって、困難なミッションをクリアしていく映画になったのが成功の鍵でしょうか。本作でもその路線は遺憾なく発揮されております。
 本作の監督は前作に続いてジェームズ・ワンです。『ソウ』シリーズや『死霊館』(2013年)などのホラー映画の監督と云う印象が強いのですが、バリバリのアクション映画もまた巧いですね。
 脚本はシリーズお馴染みのクリス・モーガンですし、安心のクォリティです。細かいところでシリーズの繋がりが感じられるストーリーになっています。

 そして今回のゲストが、ジェイソン・ステイサム。前作『ワイルド・スピード EURO MISSION』(2013年)のラストシーンで、登場が予告されておりましたし、楽しみにしておりました。ステイサムが悪役を演じるのも久々でしょうか。
 冒頭からジェイソン・ステイサムが登場してくれます。前作の悪役だったルーク・エヴァンスが重傷を負って、ベットの上で意識不明状態となっており、その兄貴であるステイサムが弟を酷い目に遭わせた奴らに復讐を誓うという導入部。
 ルーク・エヴァンスも寝たきり状態でチラ見せ登場してくれます。まぁ、倒した悪党には更に怖い親兄弟がいるのだと云うのは、続編の定番設定ですからね。
 ルーク・エヴァンスも前作で亡くなっていなかったと云うことは、場合によっては更にまた回復した後のリベンジも可能にしようという意図だったのでしょうか。

 それにしても、当初はこんなにもアクション俳優が集結する映画になるとは思いも寄りませんでした。ヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーの二枚看板だろうと思っていたら(ミシェル・ウィリアムズもいますが)、ドウェイン・ジョンソンがレギュラー入りしてしまうし、ルーク・エヴァンスに続いて今回はジェイソン・ステイサムですからね。
 何気にハゲマッチョが幅を利かせるシリーズでもありますが、これは意図しているのかしら。
 今回もまた、ハゲ同士がドツキ合うのがお約束のシーンとして挿入されます。
 しかもステイサム対ドウェイン・ジョンソン(序盤)、ステイサム対ヴィン・ディーゼル(終盤)と、二回もハゲ対決シーンが入っているので、ステイサムのファンとしては嬉しいデスね。
 劇中では、ステイサム対ヴィン・ディーゼルのチキン・レースなんて場面もあるのですが、そもそも不死身のマッチョ同士のチキン・レースに、何か意味があるのか。案の定、避けることもせずに正面衝突して、しかも双方ともピンピンしているので、あまり見せ場にはならなかったような……。

 おまけに今回はカート・ラッセルまで登場してくれました。予備知識なしで観たので、これはサプライズでした。
 うーむ。ジェイソン・ステイサムに加えて、カート・ラッセルまで登場するとは、何やら『エクスペンダブルズ』シリーズへの並々ならぬ対抗心が伺えます(『G.I.ジョー』よりも『エクスペンダブルズ』の方がライバルだったのか)。
 じゃあ、この調子でダニー・トレホとか、スティーヴン・セガールとかも呼んで欲しいけど、ポール・ウォーカーがいないのでは……。

 本作に於けるカート・ラッセルは、ドウェイン・ジョンソンの上司(なのかな?)として登場し、カーアクションには直接関係しないまでも、ヴィン・ディーゼル達に仕事を依頼して、裏で作戦の遂行を見守っていると云う役どころです。
 あまり見せ場は無いのかなぁと思っていたら、中盤で二丁拳銃構えて撃ちまくるシーンが入っていて笑いました。カート・ラッセルの二丁拳銃。しかもストーリー上はあまり意味なし。素晴らしいですね。

 さて、復讐を誓うステイサムの魔の手は手始めにドウェイン・ジョンソンへと伸びていく。まぁ、前作のミッションがドウェイン・ジョンソンからの依頼ですら当然か。易々と外交保安部のオフィスに侵入し、弟を手に掛けた連中のデータを読み込み、それを見咎めたドウェインと壮絶にドツキ合った末に病院送りにしてしまう。
 体格的にはドウェイン・ジョンソンやヴィン・ディーゼルの方が大きいのですが、ステイサムは設定では元SASの猛者と云うことになっていて、体格差をものともしません。強いぞステイサム(ちょっと危なかったけど)。

 そして次に、東京の渋谷でハン(サン・カン)を血祭りに上げるわけで、ここは前作のラストシーンと同じです。若干、時間軸が前後しております。実はあの時点でドウェインは病院送りにされていたのか。
 そして本作ではサン・カンの出番はほとんどありません。葬儀の場面で、遺影が大きく映るくらいか(こちらは完全にお亡くなりに)。
 更にステイサムの魔の手は、ヴィン・ディーゼルの身内へと延びていく。家族の身に危険が及ぶことを懸念し避難させ──だからジョーダナ・ブリュースターの出番も実は少ない──、残った野郎達だけで対決と云う構図になるのですが、ここでカート・ラッセルが登場して本筋に入ります。

 実は本作では〈ゴッドアイ〉なる監視システムが登場します。まぁ、エラく唐突デスがキニシナイ。
 世界中のコンピュータにアクセスし、監視カメラやスマホの通話も傍受して、捜索対象が世界中のどこにいようと瞬く間に見つけ出してしまえると云う、物凄く御都合主義的なシステムです。
 これを使えば神出鬼没のステイサムの居所を見つけ出せるぞと持ちかけられ、やむなく承諾するディーゼル一家。まだ記憶の戻らないミシェル・ロドリゲスも仲間に加わり、メンバーがそろいます。
 しかしこのシステムを使うには、それを作り出したハッカーを救出しなければならない。実は〈ゴッドアイ〉システムは、作り手のラムジー(ナタリー・エマニュエル)がいないと動かない代物だったのだ。しかもそのハッカーは何故か国際的テロリスト集団に拉致されいる。

 と云うワケで、まずはハッカー救出にアゼルバイジャンまで出張していく御一行様。コーカサス山中でのミッションが最初の見せ場です。
 予告編でも散々やっておりました、カスタムカー軍団のスカイダイビングが見どころですね。なんかもうハル・ニーダムへのオマージュが炸裂しているような場面であります。
 本作を観ていると、自動車とは何だったのか忘れてしまいそうになります。前作でも戦車と戦い、飛行機と戦っておりましたが、とうとう自分で空まで飛んでおります(まぁ、ジャンプというかダイビングですが)。
 この場面だけでなく、本作は邦題の『スカイ・ミッション』の名に恥じぬ飛びっぷりが随所に見受けられます。車って飛べるんだっけ(白目)。

 また、この手のミッション・クリア型の脚本ではよくある展開ですが、本作はひとつクリアすると、また次のミッション、それをクリアすると、また次の……と云うゲームのようなストーリーになっております。ストーリーとしてはやや単調ではありますが、そもそもカーアクションが見どころでありますので、難しいストーリーは余計でしょう。

 激烈カーアクションの末にハッカーを救出してみると、〈ゴッドアイ〉システムの起動に必要なチップがない。実はチップはテロリストに拉致される前に、アラブ人の友人に預けておいたのだ。
 その友人がいるUAE(アラブ首長国連邦)に出向いてみると、チップを手許に持っていない。実はチップを隠しておいたスーパーカーは、アブダビの王子様のコレクションとして、超高層ビルの最上階に展示されていたりする。
 王子が主催するパーティに潜入し、警戒厳重な高層ビルの中からスーパーカーを盗み出さねばならない。

 コーカサス山中での救出ミッションのあとは、今度はアブダビの超高層ビルからの華麗なる泥棒ミッションと云うワケで、世界中を飛び回る大掛かりなアクション映画として楽しめるように出来ております。序盤では渋谷界隈もチラリと映りますし。
 アラブの都会の超高層ビルと云うシチュエーションが、これまたトム・クルーズ主演の『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(2011年)にタメを張っているようであります。あちらはドバイの高層ビルでしたが、こちらはアブダビ(あまり見分けは付きませんデス)。
 いつの間にやら『ワイルド・スピード』シリーズは、色々なアクション映画からいいとこ取りするような作りになっていたのですね。

 ミッションの合間や準備中にも、水着美女のセクシーカットが入ったり、パーティに潜入するために正装してタキシードやドレス姿を披露してくれたりと、サービス的な場面が挿入されるのもお約束でしょうか。愛のないツッコミ入れるより、見た目の華やかさを楽しむのが正しい鑑賞法でありましょう。
 大体何故、そんな大事なチップをスーパーカーの中に隠さねばならないのかなんて訊いても仕方ないですしね。
 そして紆余曲折の末にチップを盗み出すと、今度はステイサムの邪魔が入ってシステムは悪党の手に渡ってしまう。
 実はステイサムは劇中で何度もディーゼル兄貴達のミッションを邪魔しに現れるので、待っていれば向こうから仕掛けてくるのだし、別に〈ゴッドアイ〉システムなんて必要ないのではないか、なんて根源的な疑問もあったりするのですが……。

 そしてホームグラウンドであるLAに戻ってステイサムを迎え撃つディーゼル一家。クライマックスはLA市街で繰り広げられる一大カーチェイスであります。
 これには入院中だったドウェイン・ジョンソンも黙っておられず、病院を抜け出して救援に駆けつける。いや、そもそも筋肉で内側からギプスを割ったりしてますし、怪我をしているようには全く見えないのが御愛敬です。
 ファミリー全員で敵を迎え撃つ展開はよく考えられています。各人に見せ場があって、各々が役割をきっちり果たして敵を倒すのが痛快です。ドンパチのドサクサでミシェルの記憶も戻るし、めでたしめでたし。

 そして最終決戦後、ステイサムは逮捕され(実は死なない)、CIAの秘密留置場(笑)送り。ルーク・エヴァンスも生きてますし、これはもう次回はジェイソン・ステイサムも脱獄して、兄弟そろってのリベンジ必至の伏線か……と期待できるストーリーなのに。なんで死んでしまったのだ、ポール・ウォーカー(泣)。
 一件落着後、幸せな家庭生活に戻るポールを見送るディーゼル兄貴と云う、何となくポール抜きでもこの先が続けられるようなラストではありましたが、ポールのいない『ワイルド・スピード』シリーズなんて……どうなんでしょね。




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