2014年7月20日日曜日

THE NEXT GENERATION パトレイバー

 第三章

 実写版『機動警察パトレイバー』の第三章です。毎回ぶつくさと文句垂れながら観に行っております。もはや観に行った後で、友人知人に「コンナノミチャッタヨー」と愚痴を垂れるのが楽しみの一つになっているので、出来の悪いエピソードに当たっても、それは自己責任。
 と云うか、劇場に足を運んでいる少数の皆さんは──私が観に行ったときはそれほど多いようには見受けられませんでしたが──多分、同様の自虐的な楽しみ方をしておられるのではないかと勝手に推察しております(大きなお世話デスネ)。
 それとも熱烈なファンであり、作品がどのような出来であろうとも意に介さない強靱な精神力の持ち主なのか(それはそれで凄いわ)。

 でありますので、さぁ今回はどんなヘタレなエピソードを披露してくれるのかと意気込んで観に行き、逆に「それほど悪くなかった」りした場合は、そっちの方が肩透かしです。あれぇ?
 実は第三章は、前回ほど酷くはありませんでした。
 観賞前のハードルの高さにもよるのでしょうが、前回があまりにも残念であったので、少し低くし過ぎたのでしょうか。冷静になって考えれば、如何なものかと思わざるを得ないところも無いでは無いが、鑑賞直後の印象では、第二章ほど残念な気持ちにはなりませんでした。
 爆発オチがない。
 エピソードが二つあって、どちらもお手軽な爆発オチではなかった。只それだけなのに。

 いや。オチもナニも、今回のエピソードのひとつは前後編の前編なのでオチが付く筈も無いのですが。
 どうせ二話ずつ上映するなら、前後編でまとめて一回分の上映にしてもらいたかったところですが、そんなことせずに観客の興味を惹こうとしてか、エピソードを途中でブッタ切るあたりに何となく姑息なものを感じてしまいます。
 怪獣エピソードを一回にまとめた方が観ている側としてはまとまりがいいと思うのですが、そうしてはイカン理由が何かあるのかと考えると、この先のイベント上映もかなり不安デス。

第四話 「野良犬たちの午後」 監督 : 辻本貴則
 今日も今日とて何事もなく待機するだけの時間が過ぎていく特車二課。待機任務中ではあれど、近所のコンビニまで買い出しに行くことについては、何の差し支えも無い。
 だがその日、買い出し当番となった泉野明(真野恵里菜)は押し込み中のコンビニ強盗に遭遇し、人質となってしまう。なかなか帰ってこない明に業を煮やした塩原佑馬(福士誠治)が迎えに行って、二次遭難。更に山崎弘道(田尻茂一)が様子を見に来て三次遭難。
 かくして特車二課一班は操縦担当から、指揮担当、キャリア担当に至るまで全員が人質となり、全滅。さすがに異常を感じたカーシャ(太田莉菜)が偵察に出て、初めて三人が人質となっていることを知る。
 通報を受けて出動する特車二課二班と本庁機動部隊。武装した押し込み強盗はコンビニに籠城。強力な火器で武装し、徹底抗戦の構えを見せる。
 実は強盗犯は手配中の凶悪武装テロリストであり、所持した強力な火器にパトレイバーもうかつに手を出せない……。

 タイトルからして、シドニー・ルメット監督の『狼たちの午後』(1975年)へのオマージュが顕著な一篇です。強盗の籠城事件ですし。
 今回のゲストとなる強盗犯役が、波岡一喜と三元雅芸。波岡一喜がアル・パチーノで、三元雅芸がジョン・カザール……なのかな。
 波岡一喜はどこかで見た人だと思ったら、『仮面ライダー鎧武』のシドでしたね(サクランボのロックシードで変身する奴ね)。他にも『怪傑ライオン丸G』の獅子丸だったりしますが、こっちは忘れてました(汗)。

 監督は第二話「98式再起動せよ」と同じ辻本貴則です。第二話はオチの残念さを除けば、途中まではそれなりに頑張っていたエピソードでした。今回はそこから爆発オチを抜いたエピソードであると考えればいいので、実は非常にまとまりがよろしい。
 ストーリーの構成も、コンビニ強盗が人質をとって籠城するところから始まり、それが解決するまでが描かれるので、一貫しております。
 ただまぁ、キチンとまとまって破綻していないからと云って、それが面白いのかと云われると……どうなんでしょう。今回は主役共は人質になっているだけなので、事件解決には何ら寄与することありません。
 今回は二班の活躍だけで解決します。
 主に活躍するのはカーシャですので、太田莉菜ファンであれば大満足でありましょう。

 と云うか、本エピソードはほとんど太田莉菜をどうカッコよく描くかに腐心されているように見受けられました。それほどに太田莉菜のライブ・アクションは素晴らしいデス。一見の価値ありと申せましょう。
 第一話でも、カーシャがAK自動小銃を手にして、華麗な銃剣さばきを披露するシーンがありましたが、あれが練習。本エピソードが本番です。
 籠城する武装テロリストに対して、正面から太田原のイングラム二号機が注意を惹きつけている間に、裏口からカーシャがコンビニ内に突入し、激しいアクションの末にこれを制圧する。
 見どころはこれが全てです。

 パトレイバーの方はと云うと、出番があるにはありましたが、甚だ格好悪い。そもそも軍用機関銃まで持ち出すテロリストに、如何にロボットとは云え日本の警察車両に過ぎないパトレイバーの装甲は紙同然。
 注意を惹くために動かすのも、搭乗していては危険なので遠隔操作します。ナニやら背中にエヴァンゲリオンのアンビルカル・ケーブルのようなものを取付け、離れたところに設置したシミュレーターに繋いで、搭乗せずとも動かせるようにするわけですが、何故か遠隔操作にするとゾンビのようにしか歩かせられないのが笑ってしまいます。
 これもギャグなのでしょうが、直接操縦と遠隔操作で動作に差が出せる大田原のテクニックの方に感心してしまいました(あまり役には立ちませんが)。

 そうやってコンビニの店舗正面で犯人の注意を惹くのはいいが、案の定、機関銃に蜂の巣にされます。二号機が穴だらけにされる銃撃シーンも、見せ場と云えば見せ場かしら。
 そこから一気に店内に突入したカーシャが銃剣でテロリストを制圧するのですが、ガン・アクションからナイフ格闘に至るまでの殺陣の振付が美しいです。
 CGでコンビニ内の商品が散乱していくところをスローで描いたりするコメディ要素もありますが、アクションそれ自体は非常に真摯で真面目です。手を抜くことなく近接戦闘を描ききり、そこでおしまい。

 そこが描きたかったと云うのがよく判るのですが、ソレが『機動警察パトレイバー』なのかと問われると……どうなんでしょう。
 テロリストの背景とか、そこで籠城する理由とか、説明も通り一遍ですし、一件落着後ボロボロになったイングラム二号機は修理できるのかとか、待機任務中に買い出しに出かけた是非とか、AK自動小銃はカーシャが無許可で日本に持ち込んだヤバい代物だったとか、色々な点を置き去りにしたまま終わってしまいます。うーむ。清々しいっちゃ清々しいですけどね。
 でも今般の実写版シリーズの四人の監督の中で、私は今のところ辻本貴則が一番であると思います(田口清隆監督にも頑張って戴きたい)。

第五話 「大怪獣現わる 前編」 監督・脚本 : 押井守
 怪獣エピソードは原作コミックスにもありましたし、それをアニメ化したのが劇場版第三作『WXIII』でありましたが、どちらかと云うと本エピソードはOVA版の「4億5千万年の罠」に通じるところがあります。
 過去の特撮映画にオマージュ捧げまくりなところが特にそう。悪ノリし過ぎなところは如何なものかと思うのですが。
 シリーズ全体がコメディ・タッチである以上、シリアスな〈廃棄物13号〉なんて出せないのは判りますが、「実写特撮ものでコメディ」と云うものにイマイチ良い印象がありませんです。特に過去の真面目な怪獣映画を茶化すような代物は……。
 特に思い出してしまうのは、河崎実監督の『ギララの逆襲/洞爺湖サミット危機一発』(2008年)でして、どうしてリメイクするとコメディになってしまうのか……。

 こう申しますのも、本エピソードが元ネタにしている怪獣が、『大巨獣ガッパ』(1967年)だからです。個人的にガッパと云えばギララを思い出し、ギララと云えばガッパを思い出します(同じ年に公開されましたし)。
 第一次怪獣ブームでは各映画会社が看板の怪獣を持っていました。東宝のゴジラ、大映のガメラ、松竹のギララ、日活のガッパ。
 ゴジラとガメラはそれなりにリメイクも成功し、ゴジラはハリウッドで二度も映画化されました(エメリッヒ版は評判悪いけど私は好きです)。
 でもギララとガッパは不遇でしたねえ。続編ないし。
 それで本エピソードでガッパ・ネタが炸裂したので、ついつい『ギララの逆襲』まで思い出してしまった次第デス。まぁ、本エピソードでは、日活のガッパのみならず、東宝の怪獣映画全般へのオマージュと云うか、露骨なパロディが炸裂しまくりですけどね。

 熱海でサーファーが行方不明になる事件が頻発する。同じ時期に熱海まで慰安旅行に訪れていた特車二課に、海洋学者七海言子(松本圭未)が協力を依頼しに現れる。実は七海は後藤田隊長(筧利夫)の知り合いだったのだ。
 そして七海によれば、熱海の海には何かが居る。
 これを〈巨大海棲生物G〉と名付けるが、太田原の無神経な一言──「熱海に出る怪獣と云えばガッパだろ」──で、台無しになってしまう。

 まぁ、確かに『大巨獣ガッパ』では熱海が舞台になりますけどね。
 もう全編にわたって登場人物が「ガッパ、ガッパ」と連呼しまくり。それを全てP音で消しておりますので(版権の都合か単なるギャグか)、作戦会議の場面は放送禁止用語が飛び交っているようです。
 ガッパだけでなく、某怪獣王の名前も呼ばれます(どっちもGだし)。
 一応、本当に何かいるらしく、夜の海面の怪しげな発光現象とか、海中から現れる巨大なナニカの一部といった、怪獣映画のお約束的な場面があるにはありますが、やっぱりコメディですので本当に怪獣なのか怪しいものだと思いますが。

 ここに熱海の観光産業が斜陽化していることを憂う市長(ベンガル)が「怪獣で町興し」することを企み、次第にストーリーは怪獣退治から脱線していきます。
 怪獣出現の噂に、再び観光客が熱海に殺到し始め、駅前にはコスプレした「自称・金星人」なお姉さんまで現れる始末。まぁ、金星人と云うよりも、ムー帝国の人のような格好でしたが。
 果たして熱海の街を騒がせる怪獣騒動はどうなるのか。巨大海棲生物Gの正体は。
 ──と云うところで、最後に七海の恩師、芹澤博士(嶋田久作)が登場して「つづく」。

 この嶋田久作演じる芹澤博士のスタイルが、誰がどう見ても天本英世が平田昭彦のコスプレをしているようで笑ってしまいました。つまり「眼帯をした死神博士」。どうして嶋田久作はこういう格好が異様に似合ってしまうのか。
 押井守が監督するエピソードだからか、妙にゲストが豪勢です。
 何よりも、劇中に流れる、どうでもいいようなラジオ番組のパーソナリティの役で古川登志夫と冨永みーなが声だけの出演をしているのが印象的でした。
 でも、そこが一番忘れ難いと云うのが、そもそも如何なものなのか。後編はちゃんとした怪獣映画になってくれるのでしょうか(まず無理だと思いますが)。




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