2014年3月16日日曜日

プリキュアオールスターズ NewStage 3

永遠のともだち

 プリキュア一〇周年記念劇場版にして、NewStageシリーズ三部作完結編となりました。完結するのは「NewStageシリーズ」であって、プリキュア自体はまだまだ続いていくのでしょう。
 とりあえず、うちのムスメらはまだプリキュアを卒業しておりません。妹(八歳)が観ていれば、姉(十一歳)もつき合ってくれるようです。
 本作は完結編らしく、NewStage第一作『みらいのともだち』(2012年)、第二作『こころのともだち』(2013年)の登場人物が一堂に会してエンディングを迎えます。いや、元より「オールスターズ」なのだから、全プリキュアが一堂に会しているのではありますが。
 『みらいのともだち』だけに登場したキュアエコーの勇姿を再び拝むことが出来て大変満足です。

 まずは前作で登場した妖精学校で、プリキュアについて勉強しいる妖精達。グレル(愛河里花子)とエンエン(玉川砂記子)も上級生となり、下級生らに「ミラクルライトの使い方」を教えております。
 劇場窓口で来場者プレゼントとしてお子様達に配布しているミラクルライトの使用上の注意を、ストーリーの中にうまく盛り込んでおりますが、もはやうちのムスメらはもらったミラクルライトをイタズラにピカピカすることが無くなってきました。数年前までは、「やるな」と云われたら、とりあえず振り回し、とりあえずパパの目に容赦なくライトを照射しておったのですが……。
 こうして子供はプリキュア離れをしていくのか。ちなみに今年はクライマックスでもライトを振ったりはしなくなりました(プリキュア頑張っているんだから応援してあげろよ、パパの代わりにさぁ)。

 さて、毎年プリキュアも新たなチームが誕生していくので、プリキュア教科書も更新していかねばなりません。今年のハピネスチャージ組はまだ記載されておらず、校長先生から調査と更新を依頼されるグレルとエンエン。あの落ちこぼれが、今や模範生となって校長から重要な仕事を任されるとは。
 そこで二人は人間界に出かけていく──と云うところで、おもむろにタイトルとOP。
 プリキュア達の各メンバーの日常生活を描写しながら、主題歌「永遠のともだち 2014ver.」が流れます。総勢三〇人を超えるキャラの日常をざっと流すだけでも大変です。

 本作で新たに登場するのは、〈夢の世界〉と夢の番人たる妖精です。子供達が悪夢を見ていると救援に駆けつけ、悪い夢を退治する。見た目も完全にバクになっているのが判り易い。尻尾が掃除機に変型し、悪夢を吸い込んでおります。
 バクの妖精マアム(平野文ですよ!)には幼い息子ユメタ(吉田小南美)がそばに付いていますが、ユメタの方はまだ未熟でなかなか悪夢を退治できないでいる。
 最近、平野文さんはまた声優業に復帰されたようで、色々な作品で名前を見かけることが多くなってきました。劇場用アニメとしても、新海誠監督の『言の葉の庭』(2013年)に次いでの出演です。母親役が続いていますが、お姉さん役でもこちらはまったく構いません。いや、いっそ次のプリキュア役でもOKなくら(げふんげふん)。
 一方、退治される悪夢の方は何故か凶悪なテディベアの姿をしており、ベテランの野沢雅子が配役されております。意味のある台詞を喋らないので、なんか勿体ない。『秘密結社鷹の爪』の劇場版と同じような「声優の無駄遣い」をしているように感じられます。

 不可解な配役と云えばもうひとつ。ゲスト的に登場する「悪夢に襲われている女の子」役に剛力彩芽が配役されておりました。最初、どこの新人声優かと思うくらい声が浮いておりました。
 剛力彩芽をプリキュアのアニメに起用するというのは如何なる大人の事情によるものなのか、よく判りませんデス。しかもあまり大した役では無かったし(その意味では、助かったと云うべきでしょうか)。
 でも、剛力彩芽のファンだからと、本作を観に来る大きなお友達はどの程度いるのでしょう。

 グレルとエンエンがドキドキ組と再会を喜んでいる頃、幼い子供達の間に「謎の眠り病」が流行している旨が報道されています。アナウンサー役は本職の塚本麻里衣です。劇中のニュース番組に、本職アナウンサーを起用するのは以前からもやっておりますが、こういう配役なら違和感ないのにねえ。

 さて、妖精同士のツテを頼って、まずはドキドキ組とハピネスチャージ組が邂逅しますが、その時点でめぐみさん(中島愛)が、流行りの眠り病で目が覚めておりません。子供しか罹らないのではなかったのか。
 人見知りのひめちゃん(潘めぐみ)を伴い、めぐみの夢の世界へサイコダイブするドキドキ組です。ブルー様(山本匠馬)のおかげとは云え、相当に展開が早いです。尺が七一分ですから。

 どうも〈夢の世界〉とは、各人の脳内にあるのではなく、入口は別々だが共通のフィールドがあるようです。そこで見たのは、報道されていた目覚めない子供達と、一緒になって遊んでいるめぐみさん。
 お姉さん、ナニしているんですか。
 お約束展開でめぐみとマナ(生天目仁美)の出会いがあり、グレルとエンエンがユメタの友達であると紹介される。実は一時期、ユメタも妖精学校に在籍していたのだと云う。
 眠り病の原因は夢の妖精の所為だったのだと判ったところで、ユメタの母マアムが現れプリキュア達を夢の世界から追い出してしまう。変身して戦おうとするものの、夢の世界でバクを相手に戦うのは非常に分が悪い。と云うか、勝てるわけが無いですね。

 今まで吸い込んできた悪夢を差し向けられ、圧倒されたドキドキ組とハピネスチャージ組はあっさり敗退。子供達を救出できずに、現実世界に追い返される。
 新米プリキュアだけではどうにもならない相手に、他の皆にも協力を仰ぎ、プリキュア全員で対策を、となるのですが甘かった。「今日はもう遅い。明日、皆で考えよう」とは、ブルー様も相当にうかつです。
 ユメタ母の方が一枚上手で、グレルとエンエンが落としていったプリキュア教科書を使って、その夜のうちに先手を取られてしまう。
 かくして、プリキュア全員が眠り病に囚われる。しかも今度は各人毎に専用フィールドが用意され、全員が醒めない夢の中で望んだ未来を手に入れるという脱出不能な(そもそも脱出する気にならない)悪夢仕様になっております。

 各人が夢の中で、教師になり、作家になり、医者になり、漫画家になり、アイドルになり、ファッションデザイナーになり、総理大臣になり、ダンス・コンテストで優勝し、パン屋は大繁盛と云う有様。
 これで邪魔者は片付いたと安心するマアムですが、夢を叶えすぎたのが不味かったか。あまりにも都合のいい展開に、次第に皆が「これは夢だ」と気がついていく。
 「自分だけが幸せな夢は、実は良い夢ではない」なんて結論に達するとは、女子中学生にしてはデキすぎなくらい良い子達です。私なら判っていても脱出する気にはなりませんが(生活に疲れた大人には有効な罠なのか)。

 一方、まだ教科書に載っていなかったハピネスチャージ組だけは難を逃れ、先輩プリキュア達を救出しようとするのですが、これは前作と同じ展開ですねえ。とは云え、新米なのであっさりドジを踏んで捕らえられて万事休す(素晴らしくアッサリ捕まってしまうのが笑えます)。
 牢に囚われたパピネスチャージ組にユメタが面会に来て、そもそもの発端が明かされる。
 夢の世界で子供達といくら楽しく遊んでも、子供達は目が覚めると夢のことなど忘れてしまう。いつもいつも自分は友達から忘れ去れてしまうことを悲観したユメタを見て、母マアムが考えたのが「子供達を眠りから覚まさず、息子と一緒にいつまでも遊んでもらう」ことだったと云う次第。
 お母さん、激甘です。過保護も度が過ぎると子供を歪めてしまいますよ。

 子供が親離れする以前に、親が子供離れできておりません。
 逆に、息子の方が「母のような立派なバクになりたいのに、弱虫のままでいる自分」に不満を抱いております。しかし激甘のお母さんは、それでも良しとしてしまう。
 本作に於けるマアムの過保護っぷりがなかなか素晴らしく、私も平野文ボイスのお母さんがこんなに至れり尽くせりで甘やかしてくれるなら、もう目が覚めなくてもいいんじゃな(げふんげふんげふん)。

 自分の都合だけで子供達を目覚めさせない母の行為は間違っていると息子の方が気付いてしまうのが立派です。総じて、プリキュアもユメタも「自分で気がつく」と云う演出になっているのが、巧いですね。
 大人から諭されるのではなく、自ら正しい道を見出す。それが現実に痛い目を見る道だと判っていても、そちらを選択するべきなのである。そして、自分が痛い目を見たときに、助けてくれるのが友達なのだ。友達がいてくれるから、辛い現実でも耐えていける。共に夢を叶え、喜びを分かち合うことは、「独りだけの夢の中」では決して味わうことが出来ないことである──といった趣旨の、毎度の事ながら実に感動的なセリフがポンポンと開陳されていきます。
 本作では、今まで人数が増えすぎてセリフがなくなってしまった古参のプリキュア達にもちゃんとセリフが用意されています。さすがに全員ではないが、NewStageシリーズになってから減らされた分をここで取り戻そうとするかのようです。完結編ですし。

 そして、新人プリキュアのピンチに、先輩達が夢の牢から一斉に脱出し、クライマックス戦闘に突入していくわけで、お約束とは云え安心の定番演出です。
 三六人もが入り乱れるアクションシーンは作画も大変だったことでしょう。一部、ダイナミックすぎてカメラワークに目がついて行けなくなりそうなところもあります。初代が一番パワフルなのもお約束。
 更に、オールスターズの名に相応しく、各チーム別の戦闘だけでなく、あちらでもこちらでも共同戦線が張られる図にファン・サービスも怠りなし。チームの垣根を超えた、近接格闘専門の肉弾班、防御専門のバリア班、遠距離支援専門のアーチェリー班などが見受けられます(年上系の説教班も)。
 特にキュアアクアとキュアビューティが並んで弓を引く図に萌えます(一瞬ですが)。

 戦闘は激化の一途を辿り、子供達が怯えるのを見てマアムも本末転倒に気付くがもはや手遅れ。悪夢を暴走させすぎた所為で制御不能になる事態が出来してしまう。善戦するオールスターズだが、無尽蔵に沸いて出る悪夢に次第に押され始める。
 と云うところで、満を持してのあゆみちゃん(能登麻美子)の登場となるわけですが、どうやって夢の世界に入ってこられたのか。そんなことを問うてはイカンですね。

 あゆみちゃんは過去に只一度だけ変身した幻のプリキュアと云われておりますが、そんなにレアでしたか。物知りだなグレル。
 皆を助けたいが、自分には妖精のパートナーがいない(フーちゃん消滅しましたからね)。そこでグレルとエンエンに助力を願うあゆみちゃんです。そして二年ぶりにキュアエコーがスクリーンに帰ってきます。
 これはグレルとエンエンにとっても、自分達の夢──「いつかプリキュアの妖精になりたい」──が叶う瞬間であったと云うことで、降臨したキュアエコーを見て「僕らのプリキュアだ!」と喜び合う。ユメタもそれを見て、夢はいつか叶うものだと実感するのが巧いです。

 怒濤の見せ場の連続が大変素晴らしく、片端から必殺技やらコラボ技が炸裂しまくり。遂にさしもの悪夢の暴走も、プリキュアとユメタの協力で鎮められる。立派になった息子を見て、母マアムも己の過ちに気がつくハッピーエンド。
 エンディングではエピローグ的にその後の状況も語られていきます。キュアエコーも、ハピネスチャージ組も教科書に載り、万事丸く収まって全員で記念写真。

 劇場版用にアレンジされたED主題歌「プリキュア・メモリ」を皆で歌って踊るダンスシーンもお見事で、一〇周年記念劇場版に相応しい華麗なエンディングでした(でもキュアエコーにも踊ってもらいたかった……と云うのは贅沢な注文か)。
 しかしまだまだ終わらず、秋にはハピネスチャージ組の単独劇場版が、と告知も出ます。ムスメらはもうちょっとパパにつき合ってくれるのでしょうか(いつまで続けられるのか考える方がドキドキです)。




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