2013年11月16日土曜日

ネオ・ウルトラQ Part.1

(NEO ULTRA Q)

 特撮番組の元祖『ウルトラQ』は実に忘れ難い番組でした。昔はTVでよく観ておりました(何回も再放送されたし)。あの頃は怪獣ブームでしたねえ(世間的にも、俺的にも)。
 おかげで今でも「大怪獣の歌」を暗唱できたりします(『ウルトラQ』本編中には一度も使用されていない曲なのに)。三つ子の魂百まで。
 昔はソノシートなんてのもありましてねえ──などと云う年寄りの昔話はさておき。

 その特撮番組の金字塔『ウルトラQ』をリメイクするというのは、過去何度か試みられております。劇場版として製作された『ウルトラQ ザ・ムービー/星の伝説』(1990年)とか、テレビ東京系列で放送されたTVシリーズ『ウルトラQ dark fantasy』(2004年)とか。
 実相寺昭雄が監督した前者はともかく、後者のリメイク版TVシリーズはイマイチなエピソードが多くて如何なものかと思うところです(ウニトローダ星人には脱力した……)。

 そして性懲りも無くまたリメイク企画が持ち上がり、今度は円谷プロダクションとWOWOWの共同製作による「セカンドシーズン」というコンセプトで、『ネオ・ウルトラQ』(2013年)が製作されました。正直、これもまた如何なものかと思うところ無きにしも非ずなのですが、『~dark fantasy』よりはマシでしょうか。
 そして今般、それが劇場公開されました。全十二話を四回に分けてイベント上映しようと云う趣向。実はWOWOWで放送当時、半分以上のエピソードを見逃しておりまして、大スクリーンで観れば多少は印象も異なるのかと思い、劇場に足を運びました次第デス。
 毎月の9日を「Qの日」として、そこから一週間だけの限定公開。しかも上映は一日一回だけ(その上、ブルーレイ上映か)。
 なんだか人気があるのか無いのかよく判らない企画です。

 リメイク版を三エピソードずつセットにして上映すると同時に、かつての『ウルトラQ』をカラー化した『総天然色 ウルトラQ』の中からひとつエピソードを追加した四話構成での上映。
 もちろん最後の四話目が目当てであるのは云うまでも無いことですが。

 『ネオ・ウルトラQ』は放映順に上映されるのではなく、いかなるチョイスによるものか上映エピソードはシャッフルされているようです。
 第一回目である今回のラインナップは次のとおり。

第8話 「思い出は惑星(ほし)を越えて」 脚本・いながききよたか/監督・石井岳龍
第9話 「東京プロトコル」       脚本・いながききよたか、山本あかり/監督・田口清隆
第7話 「鉄の貝」           脚本・いながききよたか、加藤綾子/監督・入江悠
『総天然色ウルトラQ』 第1話 「ゴメスを倒せ!」 脚本・千束北男/監督・円谷一

 『ネオ・ウルトラQ』の脚本はほぼ、いながききよたか氏が一人で書いているようです(たまに共同脚本がある)が、いながききよたか氏の他の脚本作品はあまり存じませんです。
 三枝健起監督で、宮沢りえ、加瀬亮主演の『オリヲン座からの招待状』(2007年)とか、深川栄洋監督で、江口洋介、蒼井優主演の『洋菓子店コアンドル』(2010年)あたりは、題名は存じておりますが未見デス。他にも色々ありますがサッパリ……(汗)。
 でも監督の方の三人は、石井岳龍は『狂い咲きサンダーロード』(1980年)の監督ですし、田口清隆は『長髪大怪獣ゲハラ』(2009年)の監督ですね(これ大好き)。入江悠は『SR サイタマノラッパー』(2009年)で存じております。

 『ウルトラQ』のセカンドシーズンと云いつつ、登場人物は刷新されておりまして、怪しげな〈トビラ〉なるバーの雇われマスター白山正平(尾上寛之)と、雑誌記者の渡良瀬絵美子(高梨臨)に、博士役の南風原仁(田辺誠一)を加えた三人が毎回異なる怪事件に遭遇する、と云うのが基本設定のようです。時代も現代になっていますし、完全に別物ですね。
 これがかつての万城目淳、一平、由利ちゃんのトリオに代わるものか。南原先生には一ノ谷博士の設定もちょっと入っているように見受けられます。

 主役の三人の中で一番、馴染みがあるのは高梨臨です。劇場作品ではアッバス・キアロスタミ監督の『ライク・サムワン・イン・ラブ』(2012年)が有名でしょうが、『侍戦隊シンケンジャー』の方が馴染み深いデス。そうか、今度の由利ちゃんはシンケンピンクか。
 男二人──尾上寛之と田辺誠一──にはあまり馴染みがありません。TVドラマにも多数出演されているようですが、観てないものばかり。
 まだ田辺誠一の方が『LIAR GAME ザ・ファイナルステージ』(2010年)とかに出演されている分、憶えが……すいません(汗)。

 この他に、島田雅彦が演じる屋島教授なる人物が、ときどき登場しますが、あまりドラマ上は関わり合いがあるようには見えません。出番も少しだけですし。でも島田雅彦は本職が小説家である割に、役者としてもそれなりに見えました。
 今般の劇場公開版では、各エピソードのオマケに超短編アニメ『屋島教授の部屋』が付いてきておりまして、島田雅彦は声優にも挑戦しております。
 しかしこれは短編というよりもCM並みのショーフィルムで、しかもシュールなお笑いアニメ。
 何故、こんなものが各エピソード間に挿入されるのか。無くても良かったような……。これも劇場公開用のサービスなのかしら。

 まぁ、色々あるのでしょうが、第一回目の企画としてはなかなか面白いエピソードがチョイスされていて楽しめました。
 全体的に、色調を落とした淡い色合いの画面が印象的です。どのエピソードも4Kカメラで撮影されたそうで、ブルーレイ上映でも特段遜色はありませんでした。結構、大きなスクリーンに映されていたのに、違和感なしとは大したものです。

第8話 「思い出は惑星(ほし)を越えて」
 精神は生まれ変わるのか。とあるしがない医学生の前に、ある日突然、異星からの使者と名乗る男が訪れ、「あなたは我が星の教皇様の生まれ変わりです。私と共に帰還して下さい」と云い出した。
 ギ・ノール星から来た侍従武官ハタさん(渋川清彦)のキャラクターが出色の一篇です。『ウルトラQ』なのに、いきなり「怪獣抜き」のエピソードから始めるあたりが変則的ですが、これはなかなか面白かったデス。
 宇宙人のくせに『武士道』と『葉隠』が愛読書と云うあたりが濃いキャラです。しかし最近は「中二病」と云う用語が定着した所為か、堂々と宇宙人を名乗っても「ああ、そういう設定ですね」とスルーされてしまうのか。いい時代になったのかどうか(笑)。
 教皇の帰還を望まない過激派の刺客達とハタさんが繰り広げる戦闘が、パルクールを交えたライブアクションとしてスピーディに演出されていました。

第9話 「東京プロトコル」
 地球温暖化が進んだ近未来。温暖化ガスの排出には厳しい制限が設けられ、電力の消費が抑えられた社会に、突如として現れた怪獣プラーナ。大挙して工場の煙突やビルの屋上に定着して、温暖化ガスを吸収し始めたプラーナのお陰で、電力消費は制限解除、景気は上向き、素晴らしい世界が到来するものの、やがてプラーナの様子に変化が現れ始める。
 実に風刺的な一篇でした。旧作のエピソード「バルンガ」へのオマージュがヒシヒシと感じられます(「マンモスフラワー」もね)。
 それにしても、温室効果ガス警報が発令されると、有無を云わさずに「緊急停電」してしまうとは、なんたる暗黒未来か。
 怪獣の出自等は一切、説明しないまま、寓話的に進行するエピソードです。きっと怪獣のおかげで楽になったものの、最後には前より酷い状況になるのかと思いましたが、オチがちょっと弱かったでしょうか。底抜けに楽天的結末に「それでいいのか」と思わざるを得ませんが、もう少し尺があると良かったような……。

第7話 「鉄の貝」
 地殻変動の影響で、巨大貝ガストロポッドが大量に出現する。熱エネルギーを求めて上陸を開始したガストロポッドを駆逐する為の作戦が決行されるが、実はガストロポッドは地底の熱エネルギーを食べる事で地震の発生を防いでいてくれたのだ。
 警告に耳を貸すことなくガストロポッドが駆逐されていったとき、不気味な地鳴りが……。
 怪獣じゃなくて「貝獣」ですね。大きいと云っても数メートル程度なので怖くはないが、大量に発生するのが気色悪い。これまた風刺的なエピソードで、過ちを認めない人間の愚かさが描かれておりました。
 最後に残った一匹のガストロポッドを匿う少女がいるのですが、この少女の家庭の事情がガストロポッドの事件とリンクしておらず、オチとしては弱かったように思われます。

 しかし今回のエピソードでは、どれもあまり怪獣が全面に出て大暴れしたりはしないですねえ。『ネオ・ウルトラQ』全体がそういうスタンスなのでしょうか。風刺的エピソードも結構なのですが、そればかりというのも如何なものか。
 街をドカーンと破壊するような描写は予算が掛かりすぎるのでしょうか。

 若干、フラストレーションが溜まったところに、トリを飾る『総天然色 ウルトラQ』から「ゴメスを倒せ!」を持ってきてくれたのが救いでした。
 後付けとは云え、なかなか見事に着色されております。カラーではありますが、やはり色調が淡いのが特徴的です。少年の着ていたセーターが緑色であったのに、ちょっと意表を突かれました。ふーん。そういう色だったのかぁ。
 そして内容と云えば、これ以上ないと云うくらいシンプルです。怪獣が現れ、暴れて、退治される……だけ。伝説の特撮番組ではありますが、今にして思うと、投げっぱなしのエピソードも多かったのですねえ。
 妙な教訓話などにせず、怪獣対決だけに絞った展開が、いっそ清々しい。『ネオ・ウルトラQ』にも、これくらいのエピソードが欲しいところです。

 さて、四ヶ月連続企画ですが次はどうしたものか。もう一回くらいなら観に行ってもいいか。
 しかし上映がレイトショー並みの時間帯なので、終わったときには終電間際というのがツライ。




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