2013年3月4日月曜日

機動戦士ガンダムUC

 episode 6 「宇宙(そら)と地球(ほし)と」

 恒例のイベント上映も少し間が空いてしまいました。第五話「黒いユニコーン」から十ヶ月ぶりの、『機動戦士ガンダムUC』の第六話「宇宙と地球と」です。待たせてくれました。
 にも関わらず、イベント上映のシネコンはほぼ満席。実に盛況です。
 間が空いてしまったので、前回までのストーリーの詳細を忘れてしまった方にも、親切なダイジェスト紹介が思い出させてくれます。
 そうそう。オードリー(藤村歩)を救出して、バナージ(内山昂輝)とユニコーンガンダムはガランシェールと共に再び宇宙に戻ったのでした。そしてネェル・アーガマと合流したガランシェールの前に立ちはだかる連邦宇宙軍旗艦ゼネラル・レビル──と云うところまででした。

 窮地に陥ったネェル・アーガマを救ったのは、フル・フロンタル(池田秀一)率いるネオ・ジオン残党〈袖付き〉の部隊。
 冒頭から早々にMSシナンジュや、アンジェロ(柿原徹也)の駆るローゼン・ズールが連邦軍を蹴散らしてくれますが、戦闘シーンとしてはごくあっさり片付きました。
 それにても新型機ローゼン・ズールって、ハンマ・ハンマみたい……と云うのは、云ってはならぬのか。ギラ・ズールとハンマ・ハンマを足して二で割ったようなデザインですが、後付け設定でシリーズの流れを乱さぬような配慮を感じます。でもちょっと配慮しすぎて、まとまり過ぎたような感が無きにしも非ず……。
 とりあえず今まで敵対していた〈ロンド・ベル隊〉と〈袖付き〉が共闘し、一時的に敵味方が呉越同舟状態になる、と云うシチュエーションが生まれます。

 当初は全六話の予定だったのに、途中から構成を変更して全七話となりましたので、大丈夫なのかと心配なところはありましたが、作品のクオリティを落とすこと無く製作されております。脚本上、破綻を来しているようなところは特に見受けられません。
 しかし、やはり次回で最終回ともなると、全体的に「風呂敷をたたみ始めた」感が漂っておりまして、各キャラクターのエピソードがそれぞれに「まとめに入った」ように思われます。
 ちょっとストーリー展開にイキオイがなくなったようにも感じられるのが残念なところでしょうか。丁寧に風呂敷を畳んでいこうという姿勢であるのは良いのですが。
 やはり第四話「重力の井戸の底で」が一番、ハジケておりました。あのMS祭りはファンサービスの極みでしたね。

 同時に、この段階であまり扱いが大きくならないバナージの級友、タクヤ(下野紘)とミコット(戸松遥)は、この先もあまり出番が回ってこないように思われて残念デス。
 せっかくミコットと再会したのに、バナージを挟んでオードリーと三角関係になったりしないのかあ。ハナシをまとめに入ったのに、そんなことすれば破綻してしまいますかね。
 そもそもオードリーはバナージに恋愛感情を抱いているようには見受けられませんし。もしあったとしても、立場上それを巧く隠している。
 結果としてミコットさんの独り相撲というか、オードリーに対する悪感情にあまり根拠が見受けられず、いつからミコットさんはあんなに意固地な言動を発するようになったのかと思うと、ちょっと哀しいものがあります(しかもその扱いが小さいので尚のこと)。

 ここでフル・フロンタル──と、〈袖付き〉──の目指す目的が明かされます。〈ラプラスの箱〉を得て、連邦に打撃を喰らわせ、月と七つのコロニーだけで自給自足の体制を確立させる「サイド共栄圏」構想。
 完全に人類の経済活動から地球を取り除いてしまい、今度こそスペースノイドの自治権確立を手にしようという構想のようですが、果たして上手くいくのか。
 連邦が崩壊してしまえば、地球が宇宙を支配することは適わなくなり、重力井戸の底で地球人共が互いに争い合っても知ったことか、というワケですね。
 この時代、地球人口は二〇億そこそこで、既に大部分の人類が宇宙に進出していると云う設定を改めて思い出させてくれました。
 しかしこの構想をそのまま発展させていくと、地球を封じ込めたまま、スペースノイドだけで体制を固めていき、いずれはスペースノイドが地球を弾圧し、支配するようになると思われるのデスが(コレは原作を読まないままの勝手な憶測デスガ)、オードリーがこの構想を是としない理由もこのあたりにあるようです。

 フル・フロンタルは「シャア・アズナブルの再来」と噂され、外見も声もシャア本人のように見受けられますが(アニメでは年齢的なところまではよく判りませんねえ)、この構想が「かつてのシャアなら決して選択しなかった」ことであると非難され、オードリーからは「私の知っているシャア・アズナブルは本当に死んだな」とまで云われてしまう。
 でもシャア本人だって『逆襲のシャア』では小惑星を地球に落とそうとしたし、フル・フロンタルのやろうとしていることもそれと大同小異なのでは。
 何となく本作では、シャアが美化されているような気がしないではないです。歴史上の人物になっちゃうとそんなものなのか。
 もはやシャアと同一人物ではないと断じられながらも、小惑星アクシズ落下の際の記憶があるような言動も匂わせているし、よく判らないままです。
 フル・フロンタルの正体については、次回で明かされそうですが、アッと驚かせて戴きたいものです。

 あと四年でジオン共和国の暫定自治権を地球連邦に返還する期限が到来する。その前に何としてでも「サイド共栄圏」を確立させようと云うのが〈袖付き〉の悲願のようであります。
 なかなか政治的な背景を巧く取り込んでいるのが感じられますが……。
 この『ガンダムUC』のストーリーは、一年戦争に始まるガンダムの「正史」の中では、『ガンダムZZ』、『逆襲のシャア』と続いたあとになり、『ガンダムF91』に繋がるピースのひとつであるそうな。
 最終的にストーリーは『F91』と矛盾しないような展開にせざるを得ないワケで、なかなか綱渡りな脚本のように思われます。

 しかし『F91』には〈ラプラスの箱〉も、「サイド共栄圏」も登場していないどころか、設定上は地球連邦がそのまま存続しておりましたが……。辻褄合わせの方は大丈夫なのでしょうか。
 何となく、最後の最後で「全部なかったこと」にしてしまうような破局が訪れる気がしてなりませんデス。それはあまり巧い手には思えませぬが。
 劇中でも、オードリーを奪還されたビスト財団の当主代行マーサ(塩田朋子)が、ダカールに乗り込んで連邦首脳部に「問題を一気に解決する手段」を提案しております。
 うーむ。これは心配です。

 今回はいつもより若者キャラが活躍できず、オヤジの見せ場ばかりが印象的でした。
 その双璧がジンネマン艦長(手塚秀彰)とオットー艦長(内田直哉)。両陣営の艦長が共に見せ場を掠ってくれます。
 マリーダさん(甲斐田裕子)が遂にジンネマン艦長を「お父さん」と呼んだのは感動的でした。同時に、それは保護するべき対象が独り立ちの時を迎えた瞬間であり、親が子離れするときであるという描写が泣かせます。
 一方、オットー艦長はアンジェロ大尉の態度に堪忍袋の緒が切れて、実に威勢の良いタンカを切ってくれます。今まで頼りなかった艦長が、乗組員から信頼を得る瞬間でした。
 オットー艦長は更に、最終回に向けて乗組員達に訓示を垂れてくれます。急に立派な艦長になられましたね(笑)。

 そして明かされる〈ラプラスの箱〉の最終座標。それは物語の出発点となったコロニー、〈インダストリアル7〉を示していた。バナージやミコットに取っては、故郷に帰ることになるわけで、色々と廻った挙げ句にフリダシに戻るような展開です。
 最初からソコにあったのかよ。
 〈ロンド・ベル隊〉との馴れ合いもここまでだと、決別するフル・フロンタルと〈袖付き〉部隊。
 「ここからは競争だ」と、〈ラプラスの箱〉争奪戦も最終局面に入りました。果たして〈箱〉を最終的に手にするのはどちらの陣営か。

 今回は活躍の場がなかったユニコーンガンダムも、フルアーマー装備となって出撃ですが、そこへ追いついてくるのがユニコーンガンダム二号機〈バンシィ〉。
 搭乗しているのは勿論、リディ少尉(浪川大輔)ですね。すっかりやさぐれてしまっているのが哀れです。もはやバナージに復讐することしか考えていないようです。
 しかし、オードリーに拒絶された腹いせに、バナージを倒すと云う姿勢なのは如何なものか。
 どうも登場人物の関係もまとめにはいったようなところがあるのはいいのですが、リディ少尉がライバルと云うよりも、妙に小物になってしまったような感じがするのが残念でした。
 これでは最終回のフル・フロンタルとの決着前の前座のようではないか。最終回の序盤であっさり退場にならないことを祈るばかりです。

 本作には、ストーリーが最終回に向けて助走し始めたような印象があり、理想や理屈が色々と並べ立てられ、派手な戦闘シーンはほんの少しです。序盤の戦闘の他は、終盤にネェル・アーガマの格納庫内でクシャトリヤとローゼン・ズールがぶつかり合うだけ(地味だなあ)。
 最終回では思いっきりやって戴けるようではありますが。
 シリーズの構成として緩急つける必要があるのは理解できますが、今までで一番、地味なエピソードであるように思われました(第二話「赤い彗星」とどちらが地味でしょうかね)。
 さて、最終回「虹の彼方に」は、二〇一四年春公開予定とな。また来年かぁ。

● 追記
 本作公開前の二月一八日、声優の本多知恵子さんが多発性癌の為に死去されたと報じられました(享年49歳)。
 本多知恵子さんと云えば、〈ガンダム〉シリーズでは、エルピー・プルとプルツー役が思い出されます。お元気であれば、本作のマリーダ役も本多知恵子さんに演じて戴くこともアリだったのではないかと──そんなことすれば端からネタバレになるか──なんてことを夢想したりします。
 心よりご冥福をお祈り申し上げます。




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