2012年9月29日土曜日

TIGER & BUNNY ─The Beginning─

(TIGER & BUNNY : The Beginning)

 企業がスポンサーに付き、そのロゴを背負って街を守るヒーローを描いた異色のSFアクション・アニメです。「プロのヒーロー」と云うのが斬新です。
 考えてみれば、スーパーマンも、バットマンも、スパイダーマンも、ヒーロー活動で稼いでいるわけでは無い。日本のヒーローも又然り(中には公的組織に属しているヒーローもいますが)。
 基本的に全員ボランティアの自警団なのです。
 マーベル・コミックスには、スパイダーマンが一時〈アベンジャーズ〉に所属するエピソードがあり、「給料が出ると思っていた」などと云う台詞もあるくらいで(払ってやれよ、トニー)。

 ヒーロー活動で稼ぐにはスポンサーを付けて宣伝せねばならず、その為に報道番組がショーアップされると云うのが面白いデス。
 これがホントのヒーロー稼業。
 しかも登場する企業ロゴはすべて実在の企業。一番目立っているのがソフトバンクとバンダイと云うのが笑えます。

 スーパーヒーローの生活をリアルに描こうとした作品と云うと、ピクサーのアニメ『Mr.インクレディブル』(2004年)とか、ザック・スナイダー監督の『ウォッチメン』(2008年)あたりを思い起こしますが、あれらも背景はリアルでしたが、「ヒーロー活動で稼ぐ」ことはしなかったですね。
 本作にちょっと難があるとすれば、デザインに実在企業のロゴを使用しながら、劇中にはそれらの企業が登場しないことでしょうか。

 物語の舞台は、架空の巨大都市シュテルン・ビルト。街の外観がモロにNYを想起させます。都市全体が三層構造になっているのがSFぽいですが。
 どうせなら背景にもソフトバンクや、バンダイや、ファミリーマートが描かれても良かったと思うのデスが。まぁ、NYぽい都市に牛角が出店していると不自然かしら。アニメイトも難しいか。ギリギリ、ドミノピザくらいなら……。
 ついでにスポンサーの社長も登場させるなら、孫■義に似たキャラも登場すれば面白かったのに(悪ノリしすぎか)。

 本作は二〇一一年の同名のTVシリーズの劇場版(第一弾)です。放送が始まったときには、よもや劇場版が製作されるほど人気を博するとは思えませんでした(失礼)。
 個人的には、洋画ライクで劇画調なキャラクターや、配役も洋画吹替でも活躍されている声優さんが多く、好みでありました。
 特に平田広明と楠大典が出演されているのがツボでした。『CSI:NY』、好きなんです。
 それに平田広明と云えば、もはやジョニー・デップの吹替で定番ですから。いつかハリウッドで本作が実写リメイクされるときには、虎鉄役はジョニー・デップでお願いしたい(無理かな)。
 バーナービー役の森田成一もザック・エフロンの定番吹替ですし、デップ&エフロンでの実写化は難しいか(無理でしょ)。
 そのときには企業ロゴもアメリカ企業のものになるのか(そんな実写化の予定はありません)。

 映画公開に先駆けて舞台化もされているあたりに作品の人気の高さが伺えます。フツーはこんなことしないでしょう。
 余談ですが、この舞台劇には虎鉄役の平田広明とバーナビー役の森田成一がそのまま出演しておられたそうですが、諸般の事情により見に行けませんでした。残念。
 アニメのヒーロー・スーツを本当に作って、特撮ヒーロー・ショーさながらの劇だったようです。他にも、聞く処に依るとスカイハイ役が永徳だったり、ヒーローアカデミーの教官役が大葉健二だったりと、特撮ヒーロー番組好きには受ける配役だったそうで。返す返すも見逃したことが残念デス。
 個人的に、ライブの特撮ヒーローものと云うと『突撃! ヒューマン!!』を連想して、実に懐かしい。古いデスか。イマドキは東京ドームシティの戦隊ショーと云うべきか。
 この舞台劇はDVD化されんかな(と思ったら既にリリース予定とな)。

 それはさておき、本作は「ピークを過ぎたベテラン」と「期待の大型新人(しかも生意気)」のコンビが悪に立ち向かうと云う構図が、モロに定番バディ・ムービーなので、アニメファンよりもむしろ海外ドラマや洋画好きの方が好みそうな内容です。
 舞台となるシュテルン・ビルトも見た目はNYですし。

 しかし背景がNYぽいとは云え、演出上はかなり無国籍に近く、どうにも観ていて懐かしい感じがします。サンライズとバンダイ・ビジュアルの製作だとはどうしても思えませぬ。
 劇画調のキャラクターといい、実はタツノコ製なのではと云う疑念が拭い切れないのデス。キャラクター・デザインは本当に桂正和なのかしら。実は九里一平なのでは。
 その昔、慣れ親しんだ『科学忍者隊ガッチャマン』とか、『破裏拳ポリマー』の匂いが感じられます。なかんずく『ポリマー』色が濃厚(私の思いこみかなぁ)。
 また、ちょっとレトロフューチャーな都市の景観の中に、巨大な彫像が幾つも建っていたり、カラフルな街の夜景がジョエル・シュマッカー監督の『バットマン・フォーエヴァー』(1995年)や、『バットマン&ロビン/Mr.フリーズの逆襲』(1997年)のゴッサム・シティを思わせます(ゴッサム・シティのデザインは監督によってコロコロ変わりますが)。

 本作はTVシリーズで云うところの、主人公コンビ結成となるエピソード(第一話と第二話の総集編)と、第三話の前に入る新作エピソードで構成されております。まさに副題のとおりの「ビギニング」。
 性格も考え方もまるで違う二人は、パートナーと呼ぶには最悪の相性。昔気質なヒーローを目指す虎鉄には計算ずくで動く若造がどうにも気に入らない。業務命令で無ければとっくに解散していたことでしょう。
 TVシリーズの後半を知る者としては、初期のバーナビーのツンツン具合が懐かしいですねえ。こいつ、こんなにいけ好かない野郎でしたか。

 しかしソリの合わないコンビでも、バディ・ムービーならばラスト近くで角突き合っていたふたりが協力したり、意気投合したりしてエンディングを迎えるのが定番ですが、本作はこれ一作だけでは終わらないのでそこまで描かれません。
 そのあたりは第二作以降で描かれるのでしょう。当然、こんなペース配分では続編一作だけなどと云うのもアリエナイですね。三部作は堅いところか。

 したがって本作では、TVシリーズで描かれた本筋にも、まったくと云っていいほど触れられておりません。
 ユーリ・ペトロフ(遊佐浩二)も意味ありげに登場しただけで、ただの顔見せのみ。ジェイク・マルチネス(藤原啓治)に至っては完全スルーです。犯罪組織ウロボロスの全貌も判らず(と云うか、ウロボロスの「ウ」の字も出ない)。

 前半が総集編で、後半が新作なので、ドラマとしては流れが途中で切れてしまう内容なのがチト残念でありました。扱われる事件に少しくらい関連を持たせてくれても良かったと思うのですが。
 また前半の事件が解決される描写に、若干カットされた部分が見受けられのも残念。もうちょっとだけ余韻を持たせても良さげなものと思うのですが、すぐに後半戦に突入です。でも新人歓迎パーティの追加場面はなかなか面白かったデス。
 しかし前半が総集編とは云え、映像としてはまったく遜色なしなのが素晴らしいですねえ。最近のアニメは最初から高画質です(ブルーレイ化前提ですものね)。

 監督は米たにヨシトモ、脚本を西田征史が担当しております。特に西田征史はTVシリーズ全話の脚本と構成も務めておられるので安心です。
 主題歌もTVシリーズと同じく UNISON SQUARE GARDEN (ユニゾン・スクエア・ガーデン)が担当し、新曲「リニアブルーを聴きながら」を歌っております。個人的には「オリオンをなぞる」をそのまま流してくれても良かったと思うのですが。

 エンドクレジット後には、続編の告知が当然のように入ります(最近、そういう映画が多いですね)。
 続編『TIGER & BUNNY ─The Rising─』は来年、二〇一三年秋公開予定。丸一年、待たねばならないのが辛いです。

 劇場では上映終了後、そのまま人気投票によるヒーロー特別紹介コーナーが始まりました。週変わり企画らしく、リピーターはこの為だけに劇場に足を運ばねばならんのでしょうか。ほとんどDVDの特典映像みたいですねえ(多分、本当に特典映像なのでしょう)。
 私が観た週は、第四位のオリガミ・サイクロン(岡本信彦)が紹介されておりました。
 私の後ろの座席に陣取っていた三人組のお姉さん達が小さく歓声を上げておりました(劇場内には女性客の方が多そうでした)。オリガミは年上のお姉さんにモテるらしい。
 「キャー、オリガミくんよ」などと云う押し殺した歓声を耳にしましたぞ。

 下位から順番に紹介されていくらしいので、スカイハイ(井上剛)やブルーローズ(寿美菜子)の特典映像を観るには、鑑賞をもう少し後にすれば良かったのか。スカイハイがオリガミ・サイクロンより下位と云うことはあるまい。
 うーむ残念だ。そして、残念だ。




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