2012年7月31日火曜日

ピラニア リターンズ (3D)

(PIRANHA 3DD)

 あの傑作B級映画『ピラニア 3D』(2010年)の続編ですから、バカと悪ノリは承知の上で観に行きました。むしろそれを承知せずに観る人なんかいるのかしら。
 大体、原題の “PIRANHA 3DD” からしてバカです。前作より「D」がひとつ多い。この無駄に多いDはなんじゃいな。
 胸のサイズ──ダブルDか!──のことか。つまり前作にも増して巨乳美人のオッパイがブルンブルーンっ。うわーい。

 ……なのは良いとしても、ホントにそれだけの映画だったとは(爆)。
 潔いと云えば潔いし、ソレが観たいんでしょとツッコまれれば、まぁその、うー、その通りでございますが。
 やはり続編の制作とは難しいものですねえ。「前作よりも面白い続編」も中にはありますが、少数派です。安易な続編とは、まさに本作のことを指した言葉でありましょう。
 前作は撮影後に3D変換された「後付け3D映画」でしたが、本作は最初から3Dで撮影されております……が、前作よりも見劣りするとは何としたことか。

 監督は前作のアレクサンドル・アジャに代わりまして、ジョン・ギャラガー。監督が交代したことは残念デスが、人選に関してはまだ納得できる範囲でありました。
 何と云ってもジョン・ギャラガー監督と云えば、これまたB級映画の傑作『ザ・フィースト』(2006年)の監督でありますし、それなりの出来は期待してよいのでは……と思ったのですが。誤算だったか。

 あまり序盤に思わせぶりな演出が出来ないのが続編の辛いところでしょうか。大体、どんなモンスターが出てくるのか観客も宣告ご承知ですしねえ。
 だから最初からフルスロットルでトバして行かざるを得ず、ドラマに緩急を付けることができなくて、「そればっかり」な場面になって、メリハリがなくなり、パワーダウンする。なんとありがちな……。
 客の興味を引きつける為に、最初から水着美人がトップレスでドーンと登場してくれますが、そのせいでソレしか印象に残らない。まぁ、「DD」という看板に偽りはないが。

 続編と云いつつ、舞台を変え、主役を変え、シチュエーションも変えてはいますが、「太古から生き続けていた獰猛な肉食魚が人々を襲う」ところは一緒です。
 でも今度は「湖ではなくプールに出現する」ので、スケールダウンの感は否めません。しかもそれほど大きなプールでも無さそうですし。

 もうスティーブ・マックイーンの孫は出演しないのかあ。ちょっと残念デス。
 変わって主役となるのが、ダニエル・パナベイカー、マット・ブッシュ、クリス・ジルカといった若手の皆さん。
 ダニエル・パナベイカーはリメイク版『13日の金曜日』(2009年)にも出演していますが、いまいち印象薄い。ジェイソンに殺られるだけだからねえ。
 他に覚えがあるのはクリス・ジルカ。彼は『アメイジング・スパイダーマン』(2012年)では、ピーターを虐める同級生フラッシュの役でした。しかしフラッシュは「悪い奴のようで、実はいい奴」でした。本作のクリスはその逆で「いい奴のようで、実は悪い奴」。ピラニアの危険を承知で見て見ぬ振りをする悪徳警官。おかげで本作中、一番バカバカしい死に方を披露してくれます。

 前作から続投になるのは、クリストファー・ロイドとヴィング・レイムス。
 クリストファー・ロイドが再登場するのは、自然でしょう。何と云っても「ピラニアに一番詳しい人」ですからね。田舎町のアクアショップの店長だったのに、実は博士号を持っていたらしく「グッドマン博士」と呼ばれています。主人公達に警告を発し、色々と教えてくれる。
 驚きだったのはヴィング・レイムスの再登場。死んだと思われていたファロン保安官ですが、両足を食われただけで一命を取り留めていたらしい。
 しかし事件のトラウマから、すっかり水に入るのが怖くなり、水への恐怖を克服する為に訪れたプールで、再びピラニアと対決する羽目になる(何故、アリゾナのプールにまで出かけてきたのかは謎ですが)。

 ひょっとしてこの〈新生ピラニア〉シリーズは、クリストファー・ロイドとヴィング・レイムスのシリーズになるのではという予感すらします。第三作にも是非、登場して戴きたい(三部作になるのか甚だ疑問デス)。
 もうヴィング・レイムスは「ミッション:インポッシブル」シリーズのルーサー役よりも、「ピラニア」シリーズの方で有名になるのでは……。

 加えて、ゲスト出演と云うか、珍妙なカメオ出演で懐かしいお方を見ました。
 まず前作のリチャード・ドレイファスと同じく、「冒頭でピラニアの餌食になってあっさり退場する犠牲者」として、本作ではゲイリー・ビジーが登場します。
 しかしあまりにも痩せていたので驚きました。『崖っぷちの男』(2012年)で見たエド・ハリスよりも枯れている。いや、もはや「枯れている」と云うよりも「やつれている」と云いたくなるくらいです。大丈夫か、ゲイリー。またアクション映画でふてぶてしい悪役顔を見せて戴きたい。

 そしてもう一人のゲスト出演俳優が、デヴィッド・ハッセルホフ。しかも本人役。
 デヴィッド・ハッセルホフと云えば、個人的には『ナイトライダー』シリーズなのですが、本作ではもう一本の人気TVシリーズ『ベイウォッチ』のセルフ・パロディとして登場します。
 でも『ベイウォッチ』は見ていなかったので、「デヴィッド・ハッセルホフが水難監視救助隊員の格好で登場する」というネタにイマイチ、ピンと来ませんでした。アメリカでは『ベイウォッチ』の方が人気なんですかね。
 劇中では自らを「ラブハンター」──「愛の狩人」かい──と名乗っておられましたが(笑)。
 今後は『アナコンダ3』(2008年)と本作が看板になるのでしょうか(笑)。

 前作のビクトリア湖の悲劇から一年。今度はアリゾナに奴らは現れた。
 コロラドの地底湖はアリゾナまで続いていたというのが無茶な設定ですがキニシナイ。しかも今度は湖だけでなくプールにも現れます。
 トップレスの巨乳美人軍団──要するに雇われストリッパーさん達──がウリのアミューズメントパーク〈ビッグウェット〉。実は水道代を浮かせる為に、無許可でボーリングを行い、地下水──と云うか地底湖から──水を汲み上げていたのだ。
 開業前日に危険に気づいた主人公らの警告も虚しく、プールはオープン。
 オープニングのセレモニーには有名俳優デヴィッド・ハッセルホフも招かれていた。

 そこから先はもう予想通りと云うか、いつものパターンと云うか。プールは阿鼻叫喚の地獄と化す──のだけれど、どうにもスケール小さなパニックなので盛り上がりに欠けます。
 デヴィッド・ハッセルホフが思ったよりもサッパリ活躍しないというのも、「なんだかなぁ」と云う感じデス。
 総じて、悪趣味なネタだけは前作以上ですが、ほとんど一発ネタだったり、インパクトだけでストーリーと関係なしなものばかり。

 水道管に潜り込んだピラニアの稚魚が、風呂場にも出現する──という無茶な場面は、主人公の妄想だったと云う夢オチとか。単に『エルム街の悪夢』(1984年)のパロディがやりたかっただけのように見受けられます(アングルがモロに酷似しているから確信犯でしょう)。
 プール開業前から、近くの湖で犠牲者がチラホラと出始めるのはいいのですが、人体内にピラニアの卵が入り込むという設定も、説得力無しです。単に「エッチの最中に、男のイチモツをガブリとやる」シチュエーションが欲しかっただけでしょう。
 それに先出ち、女性の方が体調を崩すという伏線も張ろうとしてますが、説得力皆無。まぁ、お姉ちゃんがゲロ吐くシーンも3Dなのだけは笑えますが。
 よく判らないのは、プール開業に先立ち、湖で襲われた犠牲者の遺体が湖底に沈んでいるという描写があるのですが、「骨も残さず喰い尽くす」ピラニア共に襲われているのに、遺体が沈んでいるとはこれ如何に。しかも何の説明も無いのは、不自然なデス。

 同じ説得力皆無でも、ヴィング・レイムス演じる保安官の義足には「ショットガンが装備されている」という設定には、特に抵抗を感じないのですがねえ。
 ピラニアの惨劇を再び目の当たりにして「俺の脚を持ってこい!」と開き直る場面は燃えます。
 義足に噛みついてくるピラニア共に「チタニウム製だぜ!」と啖呵を切って、ショットガンで吹き飛ばす。こういう場面をもっと増やして戴きたかった。

 ラストはプールのポンプ室を爆破し、地底湖から吸い込んだピラニア共を一網打尽にするのですが……。よく考えると、プール内のピラニアは退治したけれど、地底湖や近隣の湖に出ているピラニアはまだ残っているワケで、問題はさっぱり片付いていないような……。
 まぁ、B級だからねえ。

 エンドクレジットがNG集になっているのはいいとしても、デヴィッド・ハッセルホフの出番が本編よりも多そうなのは如何なものか。どちらかと云うと、このエンディングのギャグ場面の方が、デヴィッド・ハッセルホフの見せ場なのでは。
 「ラブハンター改め、フィッシュハンターだぜ」ってねえ。そういう場面の方を本編で見せてもらいたかったですわ。

 劇場で売っていたパンフレットの頁が一部、袋とじになっているのは、イカニモな企画です。カッターで切って、開いても、大して過激なものは拝めないという肩透かし感も含めて、作品によく合った内容でした(笑)。




▲ PAGE TOP へ

ランキングに参加中です。お気に召されたならひとつ、応援クリックをお願いいたします。
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村

ランキングに参加中です。お気に召されたなら、ひとつ応援クリックをお願いいたします(↓)。

にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
にほんブログ村