2012年4月19日木曜日

宇宙戦艦ヤマト 2199

第一章 遙かなる旅立ち

 『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』(2009年)やら、実写版の『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010年)やら、散々なものが続いた後にようやくと云うか、やっとリメイク版の真打ちが登場してくれました。劇場版の長編ではなく、一九七四年のオリジナル版を完全リメイク。
 最初からこれを出してくれれば良いものを(企画自体は何年も前からあったそうですが)。

 とは云えTVシリーズとしてのリメイクですから、オリジナル版と同じく全二六話で、これを七回に分けて劇場でイベント公開するのだとか。一般に放送されるのは来年以降。そんなに待てぬ。これはもう絶対に劇場で鑑賞する他はないでしょう(DVDリリースもありますけど、まずは劇場でしょう)。
 しかしたった二週間の期間限定公開。平日の夜だと云うのに劇場はほぼ満員、客層は平均年齢が高そうでした(笑)。
 やはりある年代以上のファンは有無を云わさず引き寄せられるのか。

 第一章はとりあえず最初の二話分。主要キャラクターの紹介と、ヤマトの発進まで。
 クオリティの高い画面に、もはや感無量であります。素晴らしくグレードアップされた再放送でした。いや、リメイク版なのに「再放送」と呼びたくなるほどに、BGMや効果音や、随所の演出のタイミングがそっくりです。
 何が何でも旧作を再構築するのだと云う執念のようなものも感じました。

 総監督・シリーズ構成が出渕裕。出世しましたねえ。実に丁寧にオリジナル版をリファインし、変更すべき部分は大胆に変えながらも、オリジナルの魂は失うことなく保持しようという姿勢がお見事デス。
 結城信輝の描く松本キャラもなかなか(みんな少し丸くなっている)。でも、もう『ヤマト』に松本零士の名前がクレジットされることは無いのか。そこだけがちょっと残念です。
 そして出演陣。一新された配役は、もはや脇役に至るまでベテランを配置した「絶対にコケないテッパン声優揃い」なのが凄い。

 沖田十三は管生隆之か。トミー・リー・ジョーンズ艦長ですね(笑)。
 古代進が小野Dで、森雪が桑島法子。
 真田さんが大塚芳忠、徳川機関長が麦人、佐渡酒蔵は千葉繁。アナライザーはチョー(今回、チョーさんは八面六臂の大活躍ですね)。
 艦隊司令部に土方艦長も登場しておられる(石塚運昇)。
 「私はイスカンダルのスターシャ」な女神様ボイスは、井上喜久子。どこまでもテッパンな。
 近年の若い声優さんにイマイチ疎い年寄りにも判る人達ばかりなのが嬉しいデス。
 今のところ、登場しているのはヤマト側の乗組員だけで、ガミラス側は冥王星基地のシュルツとガンツがチラ見せのみ。デスラー総統の登場は次回に持ち越しか。

 オリジナルで女性乗組員が何人も追加されているのが現代的ですねえ。何となく途中で命を落としそうなフラグが既に立っているキャラもチラホラと見受けられますが。
 しかも何故か新キャラはアホ毛率が高い(笑)。
 特に佐渡先生にくっついてるナースの原田真琴ちゃん(佐藤利奈)のアホ毛がシリアス場面でも堂々と存在を主張しており、イマドキのアニメらしいです(ちょっとヤリスギかなぁ)。
 それと、気になる新キャラの女性キャラのひとりが「山本」でした。
 山本、女の子になっちゃったのかッ、と思ったら、妹か。兄貴の方は既に戦死。すると次回あたりの見せ場には兄貴に代わって──

 「私に構わずワープした下さい!」(田中理恵)
 「馬鹿野郎、諦めるんじゃないッ」(小野大輔)

 ──などというやり取りがあるんですかね。野郎同士よりも燃えるのか。この場合は萌える方になるのか。
 しかし乗組員は全キャラ、見事なまでに日本人ですなあ。一応、それらしい理由もあるにはありますが。
 ジーン・ロッデンベリーの方針とは真逆をいくワケですね。でも今回は真田さんがヤマトの副長まで拝命しておられた。科学士官(真田さんは技術長ですが)が副長兼務とはエンタープライズ号のような。

 他にも、旧作では続編が制作される度に無理矢理、後付けて登場していたキャラクターも最初から然るべきポジションを占めて登場しています。土方、山南の両名に加えて、『ヤマト3』で古代らの同期生だった平田まで登場するというサービスっぷり(コレはサービスなのか?)。
 更に今般は「森雪とサーシャが何故似ているのか」という疑問にも答えを用意しているようで──決して松本零士の女性キャラは区別が付きにくいと云うミもフタもない理由では無く──、もう他人の空似では済まさないのか。
 よく考えられていると云うか何と云うか。

 全体として設定と演出はよく考えられておりますが、多少は難癖付けたくなる部分も無きにしも非ずでして……。
 最初のヤマトの主砲斉射で、火器管制を任された古代の照準合わせがすんなりいきすぎたり、発進の際の波動エンジンの点火に一切問題が無い部分でしょうか。もうちょっとだけ「タメて」くれても良かったのに(特にエンジンの点火は……)。
 今回は最初から「自動照準」だし、波動エンジン点火も「波動コア」というアイテムの設定があるので、必要以上にモタついたりはしないと云うのは理解できますけどね。
 何事にもモタつかない、と云うのが今般のリメイク版の長所でもあり短所でもあるような気がします。
 冒頭の冥王星沖の艦隊戦でもそう。駆逐艦〈ゆきかぜ〉が妙に機敏に動きすぎる感じがしました。もう少し、重々しく動いてもらいたかったが……

 しかしこれだけ用意周到に伏線を張る脚本だと、今から最終回が心配になったりします。
 真田さんの「こんなこともあろうかと」は、究極の後付け設定なのに、アレにも伏線を用意したりするのでしょうかね。

 本作は七〇年代を代表するSFアニメのルーツのような作品ですが、今となってはあちこちが『超時空要塞マクロス』のようだったり、『新世紀エヴァンゲリオン』のようだったりするのは仕方ないことでしょうか。あくまでもルーツはこちらの方にあるのですが。
 地下都市へのケーブルカーやら、長いエスカレータやら、ガミラス語での会話やら、爆発の中で「溶けて蒸発した」と思われたヤマトが姿を見せたりとか、どこかで見たような場面が登場します。

 それから音楽についても触れておきましょう。
 本作は音楽が宮川泰の長男である宮川彬良となっています。親父さんの作曲されたオリジナルのスコアは既に譜面が失われており、息子が耳で聴いて譜面から起こしたとか。
 その上で新曲のスコアも、無理なく組み合わせようとしており、なかなか苦心しておられるようです。
 新曲の中では、〈ゆきかぜ〉の乗組員が歌う「宇宙船乗りの歌」がイイ感じです。

 しかしそこまでやるなら、ED主題歌は「真っ赤なスカーフ」として戴きたかった。「星が永遠を照らしてる」も悪くはありませんが、OP主題歌がそのままなのに。
 でもED主題歌の方は、どうやら毎回変わっていくようですね。するとEDは七曲か。「真っ赤なスカーフ」もその中に入っているといいのですが。
 今回は第一話からなのでOP抜きのまま始まりましたが、終了後にオマケでOP主題歌を流してくれました。これもサービスか。かなり取って付けた感がありましたけど、ささきいさおの歌が無いと始まりませんから。

 ところでイスカンダルまでの距離が一六万八千光年になってました。最新の天文データに即すると二万光年ほど遠くなってしまうのデスね。すると往復三三万六千光年を三六五日以内でとは、リメイク版は旧作よりハードルが上がっていますよ(笑)。
 「三六五日以内」と云うと、旧作のラストには毎回恒例だった「人類滅亡まで」のカウントダウンが、リメイク版では抜けていましたが、DVDの方には付いているのでしょうか。
 あるいは次回以降のエンディングには付けてもらえるのか。あのカウントダウンがないと画竜点睛を欠くと思うのデスが。

● 余談
 旧作のスタッフ&キャストの中には既にお亡くなりになっている方もおられますが、特に今般のリメイク版公開直後に、真田志郎役だった青野武さんの訃報が飛び込んできたことが残念でなりませんです。
 ご冥福を心よりお祈りいたします。


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