2012年4月1日日曜日

センター・オブ・ジ・アース2/神秘の島 (3D)

(JOURNEY 2 : The Mysterious Island)

 ジュール・ヴェルヌ原作の『地底探検』(1959年)をリメイクした『センター・オブ・ジ・アース』(2008年)の続編です。これまた『SF巨大生物の島』(1961年)のリメイクとも云えます。
 しかし邦題が不自然では。もはや地底への旅ではないのに、「センター・オブ・ジ・アース」か。「神秘の島」だけで充分なのでは。
 と云うか、古いSF者としては『巨大生物の島』と云って戴きたかった。だってねえ、「巨大な生物がウヨウヨしている島」と云う時点で、既にヴェルヌの原作からかけ離れてハリーハウゼン路線を歩んでいると云うのに。

 前作ではブレンダン・フレイザーが主演でしたが、本作では登場しません。ブレンダンに同行していた甥っ子の少年ショーン(ジョシュ・ハッチャーソン)が本作の主人公。
 ジョシュは前作のときよりもそうですが、『キッズ・オールライト』(2010年)の頃より、更にまた育っていますね。
 数年経ってティーン・エイジャーとなり、お母さん(クリスティン・デイビス)が再婚したりして、義父に馴染めず、バイクを乗り回し、グレかけている。
 ジョシュ以外に前作から続投している俳優さんは見当たらず、お母様も別人です。
 そして義父となるのがドウェイン・ジョンソン。
 同じく本作で初登場な冒険家のお祖父ちゃんがマイケル・ケイン。
 前作と合わせて考えると、なんかスゴいファミリーですな。叔父さんがブレンダン・フレイザーで、義父がザ・ロックな上に、祖父がマイケル・ケインか。

 3Dのアドベンチャー映画と云うのがシリーズの売りなので、日本語吹替版で鑑賞しました。
 吹替では、マイケル・ケインは永井一郎、ドウェイン・ジョンソンは大塚明夫です。
 その他、ジョシュが細谷佳正、ジョシュの恋人となるカイラニ(ヴァネッサ・アン・ハジェンズ)が藤村歩、カイラニの父ガバチョ(ルイス・ガスマン)が宮澤正と云った配役です。
 ヴァネッサはまだそれほど出演作が多いワケではありませぬが、『サンダーバード』(2004年)やら、『ハイスクール・ミュージカル』シリーズ(2006~2008年)やら、『エンジェル ウォーズ』(2011年)と、個人的によくお見かけする方ですわ。『ビーストリー』(同年)はスルーしてしまいましたが。

 監督は前作のエリック・ブレヴィグに代わりまして、ブラッド・ペイトン。『キャッツ & ドッグス/地球最大の肉球大戦争』(2010年)の監督さん。なんか続編ばかり担当しているような。
 監督は代わりましたが、本作の音楽は引き続きアンドリュー・ロッキングトンが担当し、ドラマチックなスコアで変わらず盛り上げてくれます。サントラは結構、聴きものです。

 しかしイマドキのCG全開映画なので、登場するクリーチャー達には『SF巨大生物の島』のときのような、レイ・ハリーハウゼン式の味わい深いダイナメーションの動きは見られません。巨大なトカゲも、巨大なハチも、実に滑らかに動いてくれます。
 あまりにもリアルに動くので、逆にちょっと物足りない感じがすると云うと贅沢でしょうか。
 トカゲとハチの他にも、アリやらクモやら巨大な昆虫たちが登場してくれますが、背景の一部と云った扱いだったのが残念。個人的には『SF巨大生物の島』と同様に、巨大なカニも登場させて戴きたかった(倒した後で皆でカニ鍋を食べる場面が好きでした)。

 ヴェルヌの原作では、『神秘の島』の時代背景は一八六五年の南北戦争当時ということになっていましたが、本作は『センター・オブ・ジ・アース』の直接の続編なので、色々とスルーしまくりです。気球も出てこない。
 その代わりに、本作は他の様々な冒険小説からの引用が行われており、スウィフトの『ガリバー旅行記』と、スティーブンソンの『宝島』も引き合いに出される。
 〈神秘の島〉と〈リリパット王国〉と〈宝島〉は、同じ島だったのだ──って、そんな無茶な。
 ついでにアトランティス文明の遺跡やら出てくるし、もはや秘境ならナンデモアリな状態。
 島の位置はパラオ沖一〇〇マイルの太平洋上にあるという設定なのに、色々と矛盾しているのでは──と云うツッコミは勿論スルーです。
 そもそも二一世紀の現代に於いても、堂々と「常時の悪天候の為に存在が確認できない島」という設定をブチかましてくれます。むしろ開き直っているようで清々しいデス。
 七〇年周期で沈降と隆起を繰り返しているので、ある時期には発見できなかったのだという説明もありますが……。いちいちツッコんでいてはキリがありませんね。

 ファミリー向けアドベンチャー映画なので、長い前置きは極力圧縮し、実にサクサク物語は進行してくれます。
 ある日、ジュシュは無線に飛び込んできた遭難信号を傍受する。電文の内容から、送信者がヴェルヌ信者であることを知り、それが長年行方不明だった祖父のものであると確信する。
 二一世紀になってもヴェルヌの著作を現実のものだと信じている人達がいるのです。「ヴェルヌ信者」という呼称が、まるでカルト宗教のようです。
 早速、信号にあった座標に向かおうとするものの、未成年者の旅行を家族が簡単に許してくれる筈も無く、折り合いの悪い義父ドウェインも同行することに。
 ドウェインは〈神秘の島〉の存在など端から信じていないが、ジョシュと打ち解け合って家族の絆を深めようと考えていた。
 パラオに到着後、怪しげなヘリをチャーターして指定された座標に向かうが、悪天候の為に遭難し、一行は〈神秘の島〉に不時着してしまう。

 あまりにもサクサク展開してくれるのはいいのですが、島に到着後も物語のスピードは落ちません。ジェットコースター的と云えば聞こえは良いが、島で遭遇する巨大生物に驚く間もなく、あっさりと祖父ちゃんが登場し、危機を脱してしまうと云うのは如何なものか。
 少しくらいサバイバルしてくれても良さそうなものだと思うのデスがねえ。

 マイケル・ケインの祖父ちゃんが登場してからは、島でのサバイバルには何の苦労もありません。色々と珍しい動植物や遺跡を見せてもらい、すっかり観光気分。全然アドベンチャーぽくないです。
 しかし島の沈降周期が早まっていることが判明し、いきなり一行は脱出を余儀なくされる。が、乗ってきたヘリはバラバラで、無線による救助要請も間に合わない。
 かくなる上は、島の何処かに隠されている筈の伝説の潜水艦ノーチラス号だけが頼みの綱と云うことになる。

 『SF巨大生物の島』は、映画としては『海底二万哩』(1954年)の続編だったので、そのままノーチラス号とネモ船長が登場したわけですが、本作には果たして登場するのかと疑問でした。でもやはりちゃんと登場してくれます。
 実は〈神秘の島〉はノーチラス号の寄港地でもあり、ネモ船長の霊廟があったのです。本作ではネモ船長は既に亡くなっていて、白骨状態。骸骨が抱いている日記に、ノーチラス号の隠し場所の位置が記されている。
 ネモ船長はインド系の人なので、骸骨の衣装もソレっぽくなっていたり、日記がサンスクリット語で書かれている等の細かい演出に、製作スタッフのマニア度を感じます。
 火山の噴火と共に沈没していく島。遺跡も動植物も、すべてを飲み込む巨大な津波。
 果たしてノーチラス号の発見は間に合うのか──。
 
 本作の為に新たにデザインされたノーチラス号は、これはこれでなかなかカッコイイです。内部も一九世紀的なレトロな感じが漂う機械類が雰囲気を醸しております。『海底二万哩』へのオマージュ的デザインも残しつつ、新たなノーチラス号になっている。
 クライマックスの崩壊していく島から、危機一髪で脱出するシーンはなかなかの迫力です。

 しかしながら本作の一番の見どころは、実はCGではありません。
 ドウェイン・ジョンソンの素晴らしく発達した大胸筋。これこそが本作の一番の見どころであります。もうピクピク動く胸板ダンスに「女の子はメロメロ間違い無し」。いや、本人がそう云うのだから確かでしょう(笑)。
 そして二番目の見どころは、「歌うドウェイン・ジョンソン」。この人が唄えたという事実に、またまた意表を突かれました。
 劇中でルイ・アームストロングの「この素晴らしき世界(“What A Wonderful World”)」を熱唱してくれます。
 実はドウェイン、結構、上手に歌うのです。もうちょっとでマイケル・ケインとデュエットしてくれそうだったのに、それは無かった。惜しい。
 CG特撮には驚きませんでしたが、ドウェインの芸には驚きました。こっちの方が一見の価値ありでは。当然、エンドクレジットでもドウェインの美声を聴くことが出来ます。

 とりあえず家族の絆も深まり、万事めでたしでハッピーエンドとなるのはいいのですが……。
 エピローグで再び、マイケル・ケインが登場。
 人騒がせなお祖父ちゃん、次なる冒険のネタ本は──ヴェルヌの『月世界旅行』。
 行くんか、月までーっ。

 『月世界旅行』と云うと、『ヒューゴの不思議な発明』(2011年)でも触れられていた、ジョルジュ・メリエス監督のアレですよねえ。
 最新のCGで再現するのか。月の顔面にロケットが突き刺さるアレを(笑)。




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