2012年3月15日木曜日

スクライド Alteration/QUAN

(s.CRY.ed Alteration : QUAN)

 サンライズ制作のアニメ『スクライド』が一〇周年を記念して二部作で劇場版化され、こちらはその後編です。前編『スクライド Alteration/TAO』から半年経過しないうちに公開してくれるのは有り難いですが、いっそのことに二作品同時に公開してくれればいいのにと思わずにはおられません。大人の事情か。
 全編HDデジタル・リマスター化された上に、新作パートの追加やらアフレコも完全新録なので、手を抜いた総集編という感じがしないのは嬉しいデスが、二部作でもまだ「詰め込みすぎの端折りすぎ」という印象は否めません。まぁ、文句垂れながらも観てしまうのですが。
 保志総一朗も緑川光も津久井教生もお変わりなく。

 基本的にストーリーもまた変わりなく、TVシリーズでも一旦、中盤で時間が経過したのと同様に、ここでもまた「再隆起現象の発生から八ヶ月」が経過しています。前編のラストで、いきなり登場したストレイト・クーガーのアルター、〈ラディカル・グッドスピード〉の進化形はどうなったのか──という謎はさておき。

 まずは前作のラストの衝撃で記憶を失った劉鳳くんが、ロストグラウンドで新生活を始めているというお笑い場面から再開です。雲慶の〈マッド・スクリプト〉に出番が回ってきて本当に良かった。前編のときの雑魚キャラ扱いはあんまりでした。このまま出番なしかと思われましたが、良かった良かった。
 「ときめいて死ねッ」はいい台詞だなあ(笑)。

 そうは云っても前編の時もそうでしたが、後編もまた序盤の展開がかなりな駆け足、スピード展開になるのが辛いデス。
 〈マッド・スクリプト〉と一緒に、〈常夏三姉妹〉もまた、登場はしたものの──今度はちゃんと台詞があったよ──、たいして間が保ちませんでした。前編の〈ビッグ・マグナム〉やら〈スーパーピンチクラッシャー〉と同じ扱いです。
 ああ、冬馬由美、まるたまり、大本眞基子も出番が少ない(しくしく)。

 尺が足りないのは判ります。そもそも長大なシリーズを前後編各九〇分ちょっとに納めようというのが無理なのだから。省略されること無く出番があっただけでも有り難いと思うべきなのか。せめて各一二〇分の前後編だったならもう少し丁寧に展開できたものを。
 でもインタビュー記事を読むと、谷口監督も脚本の黒田洋介も一本の尺を伸ばすとダレると仰っておりましたから、これでいいのか。
 個人的には来夏月の〈常夏三姉妹〉にはもっと見せ場が欲しかったデス。人間そっくりの自律型アルターを三体という、シリーズ中でも一、二を争う妄想力の強いキャラだったのにねえ。
 人のハナシを聞かない主人公には通じませんでしたが。

 それより出番がなくなって最も割を喰らったのは、ジグマール隊長でしょうか。ウリザネもか。
 ウリザネ自身は出番も台詞も色々とありましたが、そのアルターはいまいちクローズアップされなかったような。まぁ、スイカですけど。
 その代わり、出てきたのが新キャラの異納泰介。
 前編では無常矜侍の側近として登場し、どんな能力なのか判らぬまま、後編につづく──でした。今回、ようやくその新キャラの新アルターのお披露目が……。

 うーむ。期待しすぎたか。
 なんかフツーのアルターでしたねえ、〈ブレード・ダンス〉。もっと凄いのが出るかと期待しておったのですが(どんなだ)。見た目も能力も劉鳳の〈絶影〉とあまり変わらないような。せっかく櫻井孝宏を配役しておきながら、勿体ない。
 とりあえず橘くんの〈エタニティ・エイト〉を簡単に撃退してくれましたが、ちょっとあっさりし過ぎか。ここはやられた側の橘くんのオーバーなリアクションを見せて戴きたかった。
 だってねえ、大事なタマを斬られたのだから、ナニか一言くらいあって然るべきでしょう。

 全体として異納泰介の扱いが期待したほどでは無かったのが残念。
 そもそも無常矜侍の扱いも、やっぱりそれなりでしたし。女の子を掠ってHOLY本部を悪の大要塞風に改造してくれたまでは良かったのにねえ。
 ラスボスであるべき無常矜侍との対決までが、ホントにサクサク進行していくのが気掛かりでした。このまま終わってくれたらどうしてくれよう。
 シェリスの〈エターナル・デボーテ〉は、戸田泰成のコミックス版くらいにセクシーな演出を期待していましたが、無理でしたか(あんなことやったら年齢制限かかるか)。
 退屈すること無くドラマが進行していくのは結構なことなのですが、無常矜侍との対決が中盤の盛り上がりといった扱い。真のクライマックスではありません。
 それなりに異形化して、頑張ってくれたのに。

 このあたりからドラマのテンポが駆け足からペースダウンしてくれます。ようやくドラマが普通の速度で流れ始めたように思われました。
 全体を俯瞰すると、無常矜侍は前座でしたねえ。だから異納泰介に至っては前座の前座と云うことに。
 この劇場版のクライマックスはここから。
 〈シェルブリット〉と〈絶影〉が更に進化し、最終形態にまでなってから。無常矜侍を倒し、本土からの侵攻をたった二人で撃退してしまう。

 で、そのあとどうなるかと云うと、TVシリーズの最終回と同じ流れですね。
 それまで共闘せざるを得なかったカズマと劉鳳も、ようやく一息ついて、一件落着。しかしそこで終わらずに、とりあえずケジメだけは付けようと、アレを始めるわけです。
 これが後編の見せ場です。
 一般的物語ではエピローグ程度の扱いであるべき部分を、執拗に、じっくりと、漢と漢のドツキ合いを描く。
 多分、劇場に足を運んで観に来た人達も、それが観たかったのでしょう。判ります。

 この不器用な漢同士のドツキ愛が実に丁寧に描写されます。素晴らしいデスね。
 もう両者そろって限界を超えているので、アルターも最終形態。一歩も譲らない。気が合うというかナンと云うか。

 「俺の勝ちだあッ」
 「貴様の負けだッ」

 それで結局、どうなったのかと云うと──。
 TVシリーズでは描かれなかった、数年後のエピソードがオマケに付けられています。どうやら大隆起現象はその後も地球各地で発生し続けたらしく、HOLYの活動範囲もいつの間にやら拡大している。本土と和解したのか。
 「北米隆起現象」なんて用語が聞こえたところをみると、もはや一般人の方が少なくなってきているように思えます。アルター現象は全地球的規模に拡大し、地球は人類進化の容赦ない淘汰の時代に入ったようです。

 カナミちゃんが成長してティーンエイジャーになっています。水守さんは劉鳳のサポートとして、かつてのシェリスの立場にいるらしい。
 ついでにカナミちゃんを乗せてきた戦車みたいな装甲車は、紛う事なきクーガーの〈ラジカル・グッドスピード〉。荒野を走破してきたらしい。きっと大陸横断くらいしてのけたのか。
 なんだかんだ云ってクーガーもしっかり生き残っているのが伺えます。さすがクーガー。さりげなくすごいぞ。

 北米隆起によって生まれた無法アルター使いを取り締まるのが劉鳳の役割だったようですが、またカズマがちょっかいを──どう見ても救援ではない。「助けがいるかい?」と云うカズマの問いに、劉鳳が「無用だ」と応えているのに──出そうとするところでエンドです。
 ホントに懲りない人達ですこと。幸せそうで実に羨ましい。
 蛇足ではありましょうが、彼らのその後が判って安心しました(笑)。

 その後というと、小説版にも別の後日譚があったように思われますが、あっちは完結したのですかね? 確か作者が完結させます宣言したそうですが……。
 と、思ったら『スクライド・アフター』も完全版が出版されておりました。

 酒井ミキオの新曲「SPIRITS」がエンディングに流れます。これが新たな『スクライド』の主題歌か。
 悪くはないが、もう一度「Reckless fire 2011」を流してくれても良かったかな。




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