2011年10月8日土曜日

親愛なるきみへ

(Dear John)

 アマンダ・サイフリッドがお気に入りの私としては、あまり守備範囲とはいえない恋愛映画でも観にいかずばならぬのデス。彼女がもっとホラーとかスリラーとかSF映画に出演してくれればいいのに。
 今年はアマンダ・サイフリッド出演作が沢山公開される年です。『CHLOE/クロエ』、『赤ずきん』、『ジュリエットからの手紙』に続いて四本目か。頑張ってますね。
 しかし今年になって矢継ぎ早というのは、日本公開が遅れていた作品をまとめて消化しているからで、この『親愛なるきみへ』も全米公開から一年半以上も遅れて、やっと日本公開か。ちょっと遅すぎる。何故にこんなに遅れるのだ。

 今回のアマンダの相手役はチャニング・テイタム。『G.I.ジョー』のデュークではないか。あっちでも兵士の役でしたが、ここでも特殊部隊の兵士役。テイタムは他にも『僕が結婚を決めたワケ』にも出ていましたね。

 原作者はニコラス・スパークス。書いた小説が片っ端から映画化されている〈恋愛小説の神〉。『きみに読む物語』とか『最後の初恋』とか色々ありますが、すいません守備範囲外なのでほとんどスルーしております(汗)。
 本作も既に翻訳され、『きみを想う夜空に』と題して出版されておりましたが、文庫化された際に映画と同名に改題されておりますね。

 その文庫版のあとがきから得た知識ですが、ニコラス・スパークスの物語には、大きな特徴がいくつかあるそうな。
 まず、描かれる恋愛は純粋である。
 したがって不倫は肯定されない。
 同様に悪が賛美されることもない。
 恋愛には、家族の物語が絡んでくる。
 一目惚れに厚い信頼がある(作者の体験らしい)。
 悲劇が多い(人生に別れはつきものという信念がある)。

 なるほど、確かにその通りでした。原作は読んでませんが(あとがきだけ立ち読みしたの)。
 監督のラッセ・ハルストレムとしては、原作に忠実に映画化したのでしょう。ハルストレイム監督作品と云うと『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』とか『ショコラ』くらいなら観たことあるぞ。でも『HACHI/約束の犬』もこの監督だったか……。

 物語の背景は世紀が変わってすぐの二〇〇一年。海辺で出会った二人の男女、ジョンとサヴァナは恋に落ちる(一目惚れだ)。ひと夏の恋を育む二人であったが、兵士であるジョンは兵役に復帰しなければならない。
 そして始まる遠距離恋愛。
 ふたりは手紙をやりとりすることになるワケで、手紙の中では決して嘘やごまかしは書かないと云う約束を交わす。
 かくして、様々なエピソードが手紙の中で語られていくことになるという趣向。

 イマドキの御時世に、メールを使わずに、紙媒体の手紙を交わすというのが古風ですな。
 まぁ、ジョンの任地は中東のどこかとか、アフリカのどこかというのが多く、兵士にケータイを持たせちゃくれないだろうから(持っていたところで「圏外」だろうという任地が多い)、これは自然な展開ですね。
 遠く離れた二人が、同じ月を見上げるという図がいい感じです。
 腕を伸ばして親指で月を隠すという仕草は、『アポロ13』でトム・ハンクスもやっておりましたね。あの映画を観たら、皆やりたくなりますよね(笑)。

 時代背景が二〇〇一年なので、当然、夏が終わって九月になると、あの事件が発生するワケですね。911同時多発テロ。
 私、原作小説を読んでいないので、予告編だけを観て勘違いしておりました。いや予告編がわざと勘違いするように編集されていたのだ。
 911テロに巻き込まれてアマンダちゃんが亡くなるという展開なのだろうと思っていました。そして亡くなった後になって、故人からの手紙が届いたりするのであろうと考えていたのですが、全然っ違いましたね。
 そんなベタな展開にはならず、事態はもっとヘビーになっていく。

 退役間近だったのに、911のお陰でジョンは兵役の延長を願い出てしまう。本人の意思もあるのでしょうが、やはり所属小隊全員の希望でないと延長は認めないと云う隊長の言葉もあって、小隊内部の同調圧力というのも少なからずあったように思えました。
 愛国心の発露なんですかね。
 そして勝手に兵役延長を決めてしまった為に、二人の中がギクシャクし始める。
 まぁ当然、そうなりますわな。彼女が怒るのも無理はない。
 でも理解してあげろよと云いたい側面もあるのですがね、若い恋人達だから仕方ないか。
 逆に、当時の米国内の情勢として、恋人の兵役延長に理解を示してあげないという描写にちょっと違和感も感じました。国民全員が愛国心に燃えていたわけでも無いのでしょうが、十年経ってアメリカも少し頭を冷ましたからこその描写なのかな、とも思えます。

 案の定、更なる遠距離恋愛の継続は破綻を来たし、彼女の側から別れ話を切り出す手紙が届く。理由は明かされない。そもそも原題の“Dear John”には「別れの手紙」という意味もあるそうな。存じませんでした。
 失意のジョンは更にまた兵役を延長し、二〇〇七年まで中東各地を転々とする。まぁ、帰国したくないという気持ちは判るよ。

 結局、老いた父親が脳梗塞で倒れたという知らせが届いて、初めて帰国する。この父親役がリチャード・ジェンキンス。少し自閉症気味の老人という役を印象的に演じておりました。
 最近では『モールス』にも出演しておられましたね。
 人とのつきあい方に問題はあるが、父親なりに一人息子を案じているという描写が巧い。
 私はどちらかと云うと、若い恋人達の遠距離恋愛よりも、手紙の中で語られるエピソードを通じての、父と息子の物語の方に感じるものがありました。
 病院に駆けつけた息子が意識のない父親の枕元で、自分の書いた手紙を読んで聞かせるシーンは泣ける。

 そして数年ぶりに再会する二人。ようやく明かされる別れの本当の理由。
 うーむ。事情は判った。やむを得なかったという決断も理解しよう。
 でもアマンダの側から復縁を迫るような台詞を云っちゃイカンでしょう。そりゃ身勝手だ。
 ここはテイタムの態度が正しい。例え今でも愛していたとしても、そうするべきだ。
 このあたりは原作者のポリシーが貫かれていますね。

 でもそこで終わることなく、あのラスト・シーンになるのはどうしたことか。
 ケジメは付けた筈なのに、更にまた数年が経過し、なんで偶然、街角で再会しちゃうかなあ。絶対にあり得ない出来事だとは云い切れませぬが……。
 「それでも出会っちゃうんだから、これは運命なのよ」と云うワケですかね。
 米国での公開当初、批評家からの評価が低かったというのも頷けますが、それにも関わらず大ヒットしちゃったのは、あのラストでも良いという観客の判断なのか。個人的には如何なものかと思うのデスが、これは男性視点だからなんですかね。うーむ。

●蛇足
 テイタムの恋敵となる男性役がヘンリー・トーマスでした。
 ヒゲ面の中年になっていたから判らなかったけど、『E.T.』のエリオット少年か!
 うわぁ。これが一番、驚いた。




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